03.
児童労働の実態と働く少女たちの想い
ある少女の一日
雇い主の家に住み込みで働く少女たちは、朝早く起きて朝食の支度をし、雇い主の子どもが学校に行くのを見送って、掃除と洗濯(基本的には全部人の手で行う)をしながら昼食の支度をし、家族が食べ終わって片付けが終わると、ようやく自分の食事をとることができます。
雇い主の子どもの帰宅後の世話、洗濯物の片付けや夕食の支度と、仕事は途切れることがありません
夕食の時間が遅いバングラデシュでは、家族の夕食後に自分の食事をとり、後片付けをすると日付が変わろうかという時間帯になります。そしてまた翌朝、誰よりも早く起床して朝食の支度に取り掛かるのです。
少女たちの想い
日々雇用主の家で仕事をする少女たちは何を想い、何を感じているのでしょうか。支援センターに通う少女たちの言葉から「生きる力」を感じます。
サミアさん(仮名・12歳)は…
10歳で学校を辞め、友達とも別れなければならず、とてもつらかったです。でもセンターに通えることになり、日々の仕事から抜け出し、学ぶ機会を得ることができたときは、まるで新しい人生を手に入れたような気持ちでした。もしセンターがここになければ、私は二度と学ぶ機会を得られなかったと思います。
ルナさん(仮名・17歳)は…
支援センターで友達と集まっておしゃべりするのが好きです。本当は家事使用人の仕事は好きではありません。もっと違う仕事、支援センターで学んだ美容や縫製の技術を生かして、しっかりと自分の人生を幸せなものへと切り開いていきたいと思います。
「少女たちに未来の光を」
親元を離れ、家族のために一日中働いている少女たちは、学校に行って勉強や友達と遊ぶ大切な子ども時代を奪われています。
3年前、11歳の時に突然学校を辞めさせられ働きに出された少女がいます。彼女はあまりのショックと悲しさのためにすっかり笑顔を失っていました。勉強ができる支援センターがあることを知った彼女は、自分から雇用主に行かせてほしいとお願いしました。センターに来て見せる彼女の驚くほどの勉強に対する意欲は周りの大人を動かしました。センターの先生は、雇用主と学校に働きかけたことで、週一日だけ学校に行かせてもらえるようになりました。学校の先生や友達は彼女の頑張りに驚き、授業についていけるように様々なサポートをしてくれています。そんな彼女は今、明るい笑顔で自分の夢を語り、センターではみんなのお姉さんのような存在になっています。
子どもたちは、機会や環境によって自分で未来を切り開く力を持つことができます。そのきっかけの場となるセンターは少女たちの未来に光を見せてあげられる場所でありたいと思います。私たちの活動を応援していただけますようお願いいたします。
バングラデシュ事務所長 内山智子