ネパールの洪水が多い地域での防災支援

preparedness

災害は、社会開発の成果を一瞬にして無にしてしまうほど大きな影響を社会に与えます。特に災害に対応する術を持たず、あるいは危険な地域に住まざるを得ない社会的・経済的に厳しいの人々がより多くの被害を受けやすいと言えます。自然災害の発生を止めることはできませんが、日常から減災に取り組むことにより、被害を抑えることはできます。サイクロンや洪水、地震などの災害による被害を軽減する防災活動を行政・コミュニティ・個人レベルで進め、災害に強い地域づくりに取り組みます。

本プロジェクトでは、持続的な開発目標(SDGs)の17の目標のうち、以下の解決を目指し活動しています。
SGDsのゴール1SGDsのゴール10SGDsのゴール11SGDsのゴール16SGDsのゴール17

洪水対策が不十分な川の近くの集落で、これまで住民が自主的に行ってきた活動を支援する形で洪水の被害を軽減する活動を行っていきます。住民と一緒に集落ごとの防災活動計画を立て、行政等からの支援とつなげて堤防を設置するなど行政との連携を強化し、住民自身と地域の防災力を伸ばします。

関連記事: ・会報「南の風」286号 特集「洪水リスクを減らす、3年間の挑戦」詳細
・ネパールスタディツアー2019「ネパールの平原で防災を考える」レポート 詳細

事業の成果

2019年度は三カ年事業の最終年度であったたため、終了時評価を実施した。日本の技術専門家と行った調査に基づく河川のインフラ設置、及びコミュニティにおける防災能力強化活動を経て洪水の被害が軽減し、人的被害は発生していない。この取組みは高く評価され、他の河川にもこの洪水対策の取り組みを拡げたいという声が行政からもあがった。各集落の防災管理委員会が定期的なモニタリング調査を行い、地域のインフラ維持管理を担当するだけでなく、修繕には地域住民から集めた基金を充てるようになるなど、地域全体の取組みと変化した。

また、事業地のマディ市内の学校では防災教育が導入され、教師や学生たちが必要な防災知識を身に付けられるようになった。このように、今後も継続した減災防災の取組みが期待できると判断した。2020年2月からは、同じマディ市の別の河川で洪水対策事業を開始している。新事業では、これまで以上に一つの河川をひとつのコミュニティと捉えて流域管理を行う、「広域流域管理」の考え方をコミュニティ及び行政に広げて行く予定である。


プロジェクト名称洪水に強い地域づくりプロジェクト
活動期間ラクタニ川:2020年~2023年
(マディ市バンダルムレ川 フェーズ1:2007年~2011年、フェーズ2:2012年~2014年、フェーズ3:2016年~2019年)
活動地域ネパール、チトワン郡マディ市
予算規模約1億7,900万円(3年間)
裨益者数マディ市ラクタニ川流域住民:約720世帯3,760人
パートナー団体RRN(アール・アール・エヌ) >団体紹介

私たちがこの活動で目指すこと

住民の防災意識を高め、
自ら防災活動に取り組むようになること


問題の背景

ネパールは標高が高く、世界一標高差がある国としても知られています。ネパール南部に広がる平野部では、ほぼ毎年雨期の大雨による洪水被害が絶えません。活動地のチトワン郡は、人口が集中し、洪水に襲われた場合、家屋や家畜、農作物などに広範囲にわたって甚大な被害が生じます。ネパールでは防災、災害発生時の対応の仕組みとして、地域ごとに「災害管理委員会」の設置が義務づけられていますが、農村部ではその活動内容が不十分で機能していないことが少なくありません。

目標を達成するために取り組んでいること

住民への取り組み

preparedness_02コミュニティの災害管理委員会を中心に、洪水発生に備えた緊急連絡網の整備や、避難訓練の実施を行います。また、洪水リスクのある場所や避難場所の把握のためにハザードマップを作成するほか、洪水対策インフラ(堤防、川横断通路、排水設備)の維持管理の仕組みをつくるための支援を行います。

 

行政への取り組み

preparedness_05行政関係者を対象としたワークショップや研修、先行事業地の河川での視察を行うことで、行政の防災能力強化を目指します。また、行政と住民が連携して洪水防災に取り組むように促します。

 

企業・団体との協働

domestic_servant_06さまざまな企業や団体から、ご寄付での支援、物品寄付「ステナイ生活」での支援、現地の事業への直接支援などでご協力をいただき、事業を進めてきました。SDGs、SCR活動にご興味ある方・お問い合わせはこちらをご覧ください。

なお、本事業は、国土防災技術株式会社の協力を経て、事業地の定期的視察、設計図や施工状況について助言を受けながら進めています。

関連資料
・ブログ 「日本の防災工事の技術専門家と洪水対策事業地を視察


動画で見るシャプラニールの活動


これまでの成果とSDGsへの貢献

重点分野のひとつ「子どもの権利を守る」取り組みが具体的にSDGsのどの部分の達成に貢献しているのか、該当するゴールとターゲットとその達成度を測るために設定された指標に照らし合わせました。

SGDsのゴール1「貧困をなくそう」該当ゴール 1
あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる


ターゲット 1.5
2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。

指標 1.5.1
10万人当たりの災害による死者数、行方不明者数、直接的負傷者数

どのような貢献をしているのか
洪水発生による人的・物的被害が発生しないことを目指す。事業開始後、事業地において人的・物的被 害はゼロ。インフラ設置により、約500世帯、450ヘクタールの農地が洪水からの被害を受けずに済んだと考えられる。

関連資料
・会報南の風287号 特集:シャプラニールの活動から見るSDGs
・外務省公式サイト  日本のSDGグローバル指標の進捗状況について


パートナー団体紹介

団体名Rural Reconstruction Nepal
(略称:RRN、略称読み:アール・アール・エヌ)
団体概要1989 年にネパール人によって設立された、ネパール最大のNGO のひとつ。特に女性、子ども、低位カーストおよびエスニックグループといった厳しい状況にある人々のエンパワメントを目指した活動を展開。災害発生時の緊急救援の他、災害、特に洪水、地すべりに対するプロジェクトもこれまで複数の郡にわたって実施した経験がある。

シャプラニールとは、2007年10月から2010年12月までの3年3ヶ月、チトワン郡の別のVDCにおいて貧困層に配慮した防災及び地域開発事業を実施した。現在は、ほぼ毎年洪水の起きる河川の流域にある集落全体で防災計画を立案、行政と協力して防災インフラを設置するなど連携を強化、地域の減災力を高める活動を行っている。社会開発から取り残された民族の多く住む山間部では、2015年の地震で高まった土砂崩れの危険と人々の生活の脆弱性を減らすため、住民と行政の防災力向上を目指している。

関連事業
過去プロジェクト ネパールの土砂崩れが多い地域での防災支援(2019年9月終了)
 

現地活動ルポ


ご支援のお願い

シャプラニールは、皆さまからのご寄付やボランティアに支えられ、1972年より独立間もないバングラデシュの農村での活動から始まり、そして現在はネパールへも活動を広げ、現地の声を聞き対話を重ねながら支援から「誰も取り残さない」活動を続けることができています。

これからもこの活動を続けるには、皆さまの継続的なご支援が不可欠です。子どもたちが適切な教育を受け、社会の一員となり生活することを支援するこの活動を、ぜひ一緒に支えるてくださいませんか。

ご支援の方法はいくつかあります。ご寄付(今回のみ、月々)、物品のご寄付など、ご都合のよいあなたのご支援で支えて下さい。どうぞよろしくお願いいたします。

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