2017年10月に続いて、今後の支援の可能性を探るため2018年3月7日から10日までの間、事務局次長の藤﨑文子がコックスバザールの難民キャンプを再訪しました。難民急増から半年が経過した今、難民支援の現状とシャプラニールの支援について報告します。


止まらないロヒンギャの流入
バングラデシュにいるロヒンギャの数は2018年4月1日現在、100万人を超えているといわれます。ロヒンギャ難民キャンプで活動する国際援助機関の調整および情報集約・提供を目的としたプラットフォームであるISCG(Inter Sector Coordination Group)の2018年3月25日付報告では、バングラデシュ国内のロヒンギャ難民数は88万人超となっています。発表される数値にばらつきが見られるのは、規模は減少したものの流入が続いていること、流動性の高い難民の全体像の把握の難しさを物語っています。

世界最大規模のウキア郡クトゥパロン難民キャンプ
クトゥパロンとバルカリという別のキャンプであったものが統合し、さらに隣接する敷地を含めた巨大キャンプと化していました。昨年10月に現地を訪れた時には、ブルドーザーで丘を削り、道を造っている最中だったものが、奥まで伸びていました。その両脇には見渡す限りの仮設テントが広がっています。乾期のため乾燥しきった大地はまるで砂漠のようです。風で砂が舞い上がり、口の中まで砂が入りこんでくるほどでした。

砂埃をかぶり白っぽくなった仮設テント

砂埃をかぶり白っぽくなった仮設テント


車が巻き上げる砂塵で周囲が見えなくなる

車が巻き上げる砂塵で周囲が見えなくなる

道沿いには雑貨屋や茶店などがところどころに見られ、人通りの多い一角にはバザールが出来ていました。食料品、衣類や玩具を売る店だけでなく、精米や香辛料の粉砕をする機械を備えた店や理髪店なども軒を並べています。日常生活に必要なものは揃いそうです。これらの商いをするのはロヒンギャも近隣のバングラデシュ人どちらもいるそうです。
目を引いたのは干し魚を扱う店です。干し魚はバングラデシュの南東部やミャンマーにかけて好んで食されています。ロヒンギャの人たちにとっては欠かせない食材だけあって多くの種類が店先に並んでいました。

奥の卵と手前の小さなジャガイモを除くと売っているのはすべて干し魚

奥の卵と手前の小さなジャガイモを除くと売っているのはすべて干し魚


次回は国際援助機関の支援の様子を報告します。


シャプラニールでは現在、今回の現地視察で得た最新情報をもとに、政府や国際機関などの大きな支援から「取り残された人々」を対象に新たな支援を検討しています。
2017年11月23日、ミャンマー、バングラデシュの両政府はロヒンギャ難民のミャンマー帰還に向けた合意書に署名しました。しかしながら、具体的な帰還終了の時期は定まっておらず、ロヒンギャ難民問題は長期化することが予想され、国際社会による継続的な支援が必要とされています。どうか更なるご支援をお願いいたします。

引き続き、皆様からのロヒンギャ難民緊急救援募金および情報シェアのご協力をお願いします。

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