2020年5月、サイクロン「Amphan(アンファン)」がバングラデシュを襲い、バングラデシュの沿岸部は大きな被害を受けました。シャプラニールは、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの助成を受け、被害の大きかったクルナ県コイラ郡およびバゲルハット県ショロンコラ郡の合計4つのユニオン(最小行政単位)において、被害を受けた人々の生活再建のための緊急支援活動を行いました。活動は現地のパートナー団体・JJS(Jagrata Juba Shangha)と協働で行い、11月をもち終了しました。

支援の内容は、以下の通りです。
◆安全な飲料水の確保、衛生環境の整備
1950世帯に消毒薬などの衛生用品のキットを、さらにそのうち1,800世帯に飲料水用の水タンクを配布しました。

◆食糧確保、シェルターの確保
モバイル送金システムを通じ、1,950世帯に食料購入のための現金を給付しました。600世帯に簡易避難所としてのシェルター建設のための資材の配布などを行いました。

◆生活再建支援
家畜のワクチン接種キャンプを10か所で実施しました。また、150世帯に対しては果物や野菜の種苗の配布を行いました。

シェルターの資材を受け取る様子

シェルターの資材を受け取る様子

▼活動の様子については、以前のブログもご覧ください。
【緊急支援:報告】バングラデシュ・サイクロン被災地での支援活動

支援の対象者の選出は行政との協議や住民への聞き取りなどを通じて、域内の特に貧困世帯を対象としました。妊産婦や障害者のいる家庭、女性が世帯主の家庭、サイクロンアンファンの影響で収入が大きく減少した家庭などが選ばれました。

各家庭を訪問して被災状況を調査するJJSスタッフと被災者

各家庭を訪問して被災状況を調査するJJSスタッフと被災者

当初の計画では、塩害の被害を受けた90の池の水抜き・洗浄も行う予定でした。しかし、大雨が長引いたことや堤防が決壊したことなどから、池の多くが水没してしまっており、期間中に池の水抜き・洗浄を行う事はできませんでした。

今回の緊急救援活動では、バングラデシュで普及しているモバイル送金システムを使った食料購入のための現金の給付を行いました。このシステムは、銀行口座を持たない人でも、携帯電話を介して、地域の商店などで現金を受け取れるサービスです。一律的な食料配布ではなく、各世帯のニーズに対応するためにこのような活動を取り入れました。活動終了後のモニタリング調査では、対象となった人々のほとんどが給付金を食料購入に充てており、また一部がシェルター用の資材や薬の購入にあてるなど、最低限生活するための目的で資金が使われたことが見えてきました。

物資の配布は、COVID-19の感染予防のため、フィジカルディスタンスの確保や手洗い場の設置、マスクの着用などをしたうえで行いました。

COVID-19感染防止対策をしたうえで物資の配布を行いしました

サイクロンが去った後も高潮や大雨などが続き、今回の緊急支援物資の運搬や配布にはとても手間がかかりました。また、COVID-19の感染予防対策を講じる必要もあり、今までとは大きく異なる緊急支援となりました。それでも、支援を受けた人々は少しずつ生活を立て直し始めています。

2021年1月7日更新