バングラデシュの防災事業が終了しました

2017年よりバングラデシュの沿岸部地域で実施してきた「サイクロンに強い地域・人づくりプロジェクト」が2021年6月30日をもって終了しました。この事業では、地方行政に設置される防災委員会の能力強化や学校での防災教育を通じて、三助(自助・共助・公助)の連携を強め、地域全体の防災力を高めることを目指しました。事業後半部ではCOVID-19による影響が大きかったですが、最終的に事業により目指していた変化は生み出せたと言えます。今回、事業の主な成果をご紹介します。

<地方行政の能力強化>

県、郡、ユニオンレベルでの丁寧な働きかけを行った結果、各レベルの防災委員会メンバー一人一人が自身の役割を理解し、責任をもって行動するようになりました。

事業期間中にサイクロンが発生した場合は、各レベルの防災管理委員会が各自の役割を果たし、互いに連携しながら適切な対応を取るようになり、大きな人的被害を防ぐことに成功しました。また、災害時だけでなく平常時も活発な動きが見られ、定例会議が自主的に開催されるようになった他、コミュニティのニーズを反映させた防災計画づくりが進められました。2020年度にはすべてのユニオン防災委員会が防災に特化した予算を確保することに成功、更にサッカーやバドミントンのトーナメントイベントを開催し地域住民からの寄付を募るなど、自主的にファンドレイジングイベントを実施するようになりました。

ファンドレイスを行うユニオン災害管理委員会メンバー

ファンドレイズを行うユニオン防災管理委員会メンバー

年間活動計画を作成する郡災害管理委員会メンバー

年間活動計画を作成する郡災害管理委員会メンバー

<防災教育を通じた防災意識の育成>

中学2年生に相当する学年の生徒たちに向けて防災教育授業を行った結果、生徒たちが学んだ知識を家族や隣人に共有し、世帯レベルで防災行動を広めることができました。

例として、2019年に発生したサイクロンBulbulの際には、防災教育セッションを受けた生徒がいる世帯のうち94%が防災行動を取りながら避難していました(避難食、飲料水、重要な書類等を持参して避難するなど)。また、生徒たちが防災教育の学びを披露する場として防災フェスを実施した結果、予想以上の参加者が集まり、大人気のイベントとなりました(詳しくはこちら)。

防災コンテストの様子

防災フェスの様子

防災教育授業の様子

防災教育授業の様子

本事業は国際協力機構(JICA)がパートナーとなり、草の根技術協力事業として実施しました。

活動は一旦終了となりますが、今後もバングラデシュの他の地域で、本事業での経験を活かして防災分野での取り組みを展開していきます。

 

バングラデシュのCOVID-19感染状況(7月30日時点)

バングラデシュのCOVID-19感染状況は、7月30日時点で累計感染者数124万人に達し、累計死者数は2万人以上となりました。バングラデシュ政府は7月1日より全土ロックダウンの措置を取っていますが、7月15日~7月22日はクルバニ・イード(イスラム教犠牲祭)が全国で祝われる時期のため、一時的にロックダウンを解除しました。ロックダウン中閉鎖されていたショッピングモール等は再開し、公共交通機関も運営を再開しました。イード休暇中は多くの人々が帰省し、大渋滞となりました。その影響もあるのか、休暇後の感染者数は大幅に増え、7月28日の新規感染者数は16,230人となり過去最高となりました。7月24日からはロックダウンが再度適用されており、8月5日まで続く予定です。

海外活動グループ/バングラデシュ事業担当 峯