houkokukai_tokyoシャプラニールが全国5ヵ所を回って講演する「帰国報告会2018ーラジオで変える、バングラデシュで働く少女の未来」の第4回目の開催は東京で行いました。

_猪瀬さん

会場には、ダッカに1年駐在した猪瀬駐在員の話を聞きにたくさんの方にご来場いただきました。ありがとうございました。シャプラニール会員の方々、バングラデシュにゆかりのある方、国際協力に関心のある方などでいっぱいになりました。

今回は特別ゲストスピーカーとして日下部尚徳さん(東京外国語大学講師、シャプラニール前理事)をお招きしました。日下部さんは学生の頃からバングラデシュなどを中心に国際協力の現場におもむき、地域社会とそこに暮らす人びとからの学びを大切にした研究を行っています。バングラデシュの発展と取り残された社会問題をシャプラニールの活動も織り交ぜながら、専門家の見解もお話いただきました。
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今回の講演のメインテーマ「ラジオ」「児童労働」には縁を感じたという日下部さん。学生時代にシャプラニールのバングラデシュ事務所を訪れた際に、「見えない貧困としての児童労働」に注目していたシャプラニールに感銘を受けたそうです。ここ5年で普及してきたラジオを使った防災に取り組む活動に関わったこともあることで、シャプラニールの活動にも注目していたとのことでした。

参加者の方からの質問を一部ご紹介します。
Q:少女たちの雇用主はどんな方ですか?このような取り組みに反論をする雇用主はいないのでしょうか。
A:中流階級の家庭でも家事使用人を雇う傾向があります。なぜなら月数百円~千円程度でも雇うことができてしまうことが原因。中には家事ごとに数人を雇う人もいるそう。私たちが実地調査を地域でしていると、門前払いする人や使用人を隠す人も多くいます。そうすると私たちは何もできないのですが、過去には何度も諦めずに訪問した結果、理解を示してくれ、少女がセンターに通うようになった事例もあります。

Q:少女たちの変化を教えてください。
A:支援センターに通うことで少女たちの将来が開けたな、という事例を2つご紹介します。まずは、とある18歳の少女はシャプラニールと現地NGOが運営する支援センターでミシン縫製の授業を受けたことで、家事使用人として働く傍ら、空いた時間でを衣料品の修繕や民族衣装のサロワ・カミューズなどを作る仕立て屋とし活躍しています。ミシンは雇用主が買ってくれたそうです。次に「学校に行きたい」けど両親の希望で使用人として働いている少女は、理解を示した雇用主が学校学校に通わせてくれるようになりました。このように家事使用人として働くことがすべてをネガティブに捉えることではありません。「働かなくなる」が最終的なよい結果ですが、ではすぐに村に帰って生活をするではなく、彼女たちのように現状にとどまりながら未来の可能性を探ることもできるんだ、ということも私たちの活動で見えてきたことです。

Q:少女たちはどのようにして仕事に就くのですか。ブローカーを介した出稼ぎなのでしょうか。それを取り締まる法はありますか。
A:シャプラニールが直接活動をした事例はありませんが、ブローカーはいます。特に震災時の混乱でブローカーが貧しい子どもたちやその親を騙してビジネスをすることは多いと言われています。支援センターに通う子どもたちに多いのは、雇用主と両親が同じ故郷ということで少女の働く先が決まることが多いです。代々雇用する、雇われるという関係がある家庭もあります。

 

▼「わたし、8歳、職業家事使用人」
今回のゲストスピーカー日下部尚徳さんが執筆した本が発売されました。バングラデシュで家事使用人として働く少女たちについて、図式を交えた優しい内容で貧困問題やそれに対してどのようにしてシャプラニールが活動を行っているかが分かる一冊です。

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ご購入はこちらから >>> http://www.craftlink.jp/shopbrand/book/

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次回の会場は愛知です。シャプラニール愛知連絡会の方々どうぞよろしくお願いします!

スタッフ広報 長瀬

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▼その他の地域での開催レポート
いわき講演  大阪講演  東京講演  愛知講演  講演終了のお礼

▼「帰国報告会2018」詳細ページはコチラからご覧ください。

▼関連書籍「わたし、8歳、職業家事使用人。」の紹介ページはコチラから

▼シャプラニールの「バングラデシュの家事使用人として働く少女への支援」についてはコチラからご覧ください。

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