「七夕まつり」で支援活動?

IMG_20160808_1444238月6、7、8日はいわき市平(たいら)地区の七夕まつりでした。旧暦で開催されるこの七夕まつりは、仙台七夕まつりの規模とはいかないながらも、たくさんの笹飾りが駅前商店街に飾られ、屋台が並んでとても賑やかで華やかな3日間です。
なぜ、いわきの支援活動で七夕まつり?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、シャプラニールは2012年の夏からこの七夕まつりと深く関わってきました。
東日本大震災の後、福島県沿岸部の双葉郡から2万人を超える人々がいわきに避難し、いわきで生活するようになったけれど、目の前のことで精一杯で新しい土地に暮らすことに不安を抱えた人が多くいました。そんな中で、いわきの文化に触れること、いわき市民と交流を図れるのではと、当時交流スペース「ぶらっと」があった駅前の商業施設ラトブから声掛けがあったのがきっかけでした。2012年の夏に向けて初めて飾りを作ろうと動き出したのがその年の春でした。各避難自治体や仮設住宅、社会福祉協議会に声をかけて、仙台から業者を呼んで笹飾り作りを開始しました。
2012年は資金集めや参加の呼びかけなど、シャプラニールがコーディネーターとなって進めました。そうして1年ごとに少しずつそれぞれの町の皆さんによって、主体的に飾り作りが進められ、4年が経ちました。

そして、今年の七夕まつりです。3月いっぱいでいわきの事務所を閉じているこるため、どの程度飾り作りが進められているか期待をしながら見に行くことにしました。

 

特別賞受賞

35度を超える炎天下の中、富岡町の飾りを見に行くと、とてもきれいなピンクの飾りと「とみおか」の文字。富岡町はいわき市在住の富岡町民の会「すみれ会」が中心となり、昨年からは仙台に勉強に行くなどとても熱心に飾りのクオリティを追及されていました。「作るのは大変だけど、飾り作りを通してまたみんなで集まれる。」と会長の田中さん。今回、平七夕まつり実行委員会の「飾りつけコンクール」で見事特別賞に選ばれました。

細部まで丁寧に作られていた富岡町の笹飾り。

▲細部まで丁寧に作られていた富岡町の笹飾り。

 

双葉町は薄磯団地と共同で

双葉町広域自治会「いわき・まごころ双葉会」が中心となって作り上げた2つの飾りは、事務局長大橋さんが熱心に取り組む、「いわきの人とつながろう」という思いに沿ったもの。2015年から交流を継続しているいわき市沿岸部に建てられた災害公営住宅薄磯団地の自治会と共同で制作したものと双葉町の笹飾りには、それぞれ地域を象徴するデザインが加えられていました。薄磯地区の塩野崎灯台と双葉町のだるまです。

双葉町の笹飾り。

▲双葉町の笹飾り。

 

2012年に始めた、いわき市と避難されている皆さんをつないで、交流が深まればと考えてきたこの七夕まつりへの参加は、ゆっくりとではありますが関わるみなさんのペースで新しい取り組みへと変化していることを実感しました。
炎天下の中、時折吹く風になびいてさらさらと音をたてる笹飾りと、「いわきおどり」のワクワクする音楽が、まさにいわきの夏だなと感じました。

公営住宅薄磯団地と共同で作った飾りの設置をするまごころ双葉会のみなさん。

▲公営住宅薄磯団地と共同で作った飾りの設置をするまごころ双葉会のみなさん。

(国内活動グループ 佐藤緑)

※この度、シャプラニールの東日本大震災支援活動報告をまとめた報告書を発行しました。「いわき、1846日―海外協力NGOによる東日本大震災復興支援活動報告―」と題し、発災直後の動きから5年間の活動やNGOとしての活動の振り返りをまとめています。会員・マンスリーサポーターの方へは最新号の会報とともにお送りしておりますので、ぜひご覧ください。