2011年3月11日から5年が経ちました。
シャプラニールが2011年10月から開設している交流スペース「ぶらっと」が、明日12日で終了となる今日、できるだけ静かに過ごしたいと思っていましたが、結果的には賑やかにいつもの「ぶらっと」らしい一日でした。私自身もたくさんの方とお話しすることができ、いろいろな思いをめぐらす一日になりました。

朝一番にお会いしたのは、津波で自宅が全壊・流出したIさん。借上げアパートから昨年公営住宅へ引っ越しされています。「ぶらっと、明日で最後だから」と寄って下さいました。

いわき市街地から北に位置する久之浜から、電車に乗って毎週金曜日の健康運動クラブと将棋クラブに通うTさんは93歳。今日もお昼をぶらっとで食べて、午前と午後、両方のクラブに参加します。スタッフに、とスカイストアで購入した焼き芋を分けてくれるおじいちゃんです。

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そんな中、宅急便が届きました。「みんなでいわき」の参加だけでなく、ご自身でも福島に何度も行き来され福島愛に溢れるYさんから、ぶらっとの皆さんで、とお菓子の贈り物。2:46の黙祷の前のお茶の時間に、みんなでいただきました。お心遣いをいつもありがとうございます。

横浜からは、シャプラニールを長く支援いただいている(HBCの頃から!)Fさんがいらっしゃいました。「気を遣わないで」と、将棋クラブやスカイストアを見学され、一緒に午後までの時間を過ごすことができました。

大熊町からいわきに避難し、借上げアパートに住むIさん(70代女性)も黙祷の時間を一緒に過ごすことができました。「健康運動クラブのおかげで、週一回の外出が楽しいんだ。クラブの後に仲間とランチに行くのがまた楽しみで。」
復興公営住宅(福島県営)に移ることを考えたりする?と聞くと、「アパートで仲良くなった人がいるから。このままアパートにいようかと思っている。」との答え。いわき市で自宅が全壊し同じアパートの1階に住むYさんと親しいIさんは、足の悪いYさんのためにも話し相手になり、一緒に同じアパートに残りたいのだそうです。
このお二人は震災前は住む場所(いわき市と大熊町)も、暮らしも、全く違う環境でした。それぞれの被災、避難によって偶然同じ借上げのアパートに暮らし、こんなにも相手を思いやれる関係性が生まれているのです。
「うち(大熊町でも線量が非常に高い)にはもう帰れないから。」といわきで生きていく決意をしっかり持っていらっしゃることが率直に伝わってきました。

それぞれの時間が経過したいわき。

私たちの活動の柱でもある交流スペース「ぶらっと」は明日で最後となります。

(震災対応タスクフォース 佐藤緑)