こんにちは!インターンの佐藤です。 

前回のブログでは、バングラデッシュにおけるサイクロン災害の現状と、災害時に女性が直面するさまざまな課題についてご紹介しました。 今回は、こうした課題に対応するために実施されている「「クルナ県コイラ郡におけるジェンダーに配慮した防災能力強化事業」の具体的な取り組みについて、お伝えします。 

ジェンダーに配慮した防災への取り組み 

本事業では、地域住民と防災関係者の双方を対象に、ジェンダーに配慮した防災能力の強化に取り組みました。 

1.コミュニティレベルでの防災能力の強化 

一つ目は、地域住民がジェンダーに配慮した防災について理解を深め、災害時に適切な行動を取れるようにするための取り組みです。その一環として、サイクロン災害への備えや警報発令時の行動をまとめたリーフレットを配布しました。リーフレットには、イラストを用いて、女性や子どもを守るために必要な行動が分かりやすく示しました。また、緊急連絡先に加え、災害への備えや避難に関する意思決定に女性も参加すること、家庭内での役割分担を見直すこと、災害時にも一人ひとりの権利を尊重することなどを盛り込みました。 

防災パンフレット
シェルターへの避難を呼びかけるポスター

さらに、サイクロンシェルターの壁などに啓発資料を掲示し、地域住民が日常的に防災について考える機会をつくっています。女性や少女、子ども、高齢者、障害のある人など、避難にあたって特別な配慮を必要とする人々を優先的に避難させるよう呼びかけるポスターも作成・配布しました。

サイクロンシェルターに貼られた啓発ポスター

また、ジェンダーに配慮した災害対策について話し合うミーティングも行いました。地域の防災活動に女性が参加し、意見を反映できる仕組みを整えることは、その地域で暮らす人々の実情に即した対策を考えるうえで重要です。

女性たちを中心にした話し合い

ミーティングの中では、女性や子どもが安全にシェルターへ避難できるよう、避難経路や支援体制を整備し、妊娠中の女性が必要なケアを受けられるようにすることや、緊急時に救急車を呼べる体制も整えられました。さらに、シェルター内に女性と子どもが安心して過ごせる空間を設け、授乳中の女性がプライバシーを確保できる専用スペースを設置する事などを話し合い、環境改善に向けた取り組みを行いました。 

2.地域防災関係者の能力強化 

二つ目は、地域の防災を担う関係者に対する取り組みです。本事業では、郡やユニオンといった行政単位で事業のオリエンテーションを実施するとともに、地域の防災組織における定例会議の開催を支援しました。ユニオンとは、バングラデシュの地方行政における基礎的な行政単位の一つです。地域に密着した防災活動を進めるためには、行政機関と地域の防災組織が連携し、住民の声を踏まえながら対策を検討することが重要です。こうした会議やオリエンテーションを通じて、地域の防災関係者がジェンダーに配慮した防災の必要性を理解し、日頃の活動に反映していくことが期待されます。特に、女性が地域の防災組織や意思決定の場に参加することは重要です。女性自身が避難時に直面する問題や必要な支援について意見を伝えることで、これまで見過ごされてきた課題が明らかになり、より実効性のある防災対策につながると考えられます。 

地域の防災関係者のミーティング

今回、この事業について学ぶなかで、私が特に衝撃を受けたのは、防災の分野にもジェンダー格差が存在するということです。 災害が発生したとき、警報を伝え、避難場所を整備し、住民を安全な場所へ誘導することは、誰もが等しく命を守るために必要な取り組みだと考えていました。しかし、実際には、警報を受け取れるかどうか、避難するための時間や手段があるかどうか、避難先で安心して過ごせるかどうかといった点に、性別や社会的な立場による違いが生じています。 

特に印象的だったのは、サイクロンシェルターが整備されていても、プライバシーや安全面への不安、衛生用品の不足などによって、女性が避難をためらう場合があるということです。避難施設を設置するだけでは十分ではなく、そこにいる人々が安心して利用できる環境を整えることが不可欠なのだと感じました。 

今回の学びを通じて、防災とは単に災害から人々を守るための設備や制度を整えることではなく、一人ひとりが置かれている状況を理解し、誰もが安全に避難できる環境をつくることなのだと考えるようになりました。 

誰もが安心して避難できる地域を実現するためには、行政や防災関係者だけでなく、地域に暮らす人々自身が課題を共有し、協力していくことが欠かせません。今後も、ジェンダーの視点から防災について考え、誰一人取り残さない地域づくりについて学びを深めていきたいと思います。 

インターン佐藤