こんにちは。事業推進部インターンの佐藤です。今回のブログでは、「クルナ県コイラ郡におけるジェンダーに配慮した地域防災能力強化事業」についてご紹介します。
バングラデシュにおけるサイクロン災害と防災の課題
バングラデシュは、国土の多くが低平なデルタ地帯に位置し、沿岸部を中心にサイクロンや高潮による深刻な被害を繰り返し受けてきました。2023年の調査によると、1970年以降、60回以上のサイクロンが発生し、死者は46万人を超えたとされています。こうした被害を軽減するため、バングラデシュでは防災体制の整備が進められてきました。2012年には災害管理法が制定され、サイクロンシェルターの整備や住民への警報伝達体制の構築、防災教育など、さまざまな取り組みが進められています。その結果、過去の大規模災害と比較して、サイクロンによる死者数は減少してきました。
ここでいう「サイクロンシェルター」とは、サイクロンの接近に伴う高潮や洪水などから住民の命を守るために設置された避難施設です。特に、海岸沿いの低地では、高潮によって住宅が浸水したり、流されたりする危険があるため、住民が安全な場所へ避難することが重要になります。地域によっては、平常時には学校などとして利用され、災害時には多くの住民を受け入れる避難場所として機能しています。しかし、シェルターや堤防の維持管理、住民への確実な情報伝達など、依然として課題は残されています。さらに、災害対策を考えるうえでは、避難場所を整備するだけでなく、女性、高齢者、障害のある人など、さまざまな立場の人が安全に避難できる環境を整えることも欠かせません。




災害時に顕在化するジェンダー格差
災害は誰にとっても脅威ですが、その影響はすべての人に平等に及ぶわけではありません。特に女性は、社会的・文化的・経済的な要因によって、災害時により脆弱な立場に置かれることがあります。1991年にバングラデシュを襲ったサイクロンでは、高潮などによって13万人以上が亡くなりました。当時の調査では、すべての年齢層で女性の死亡率が男性よりも高く、20~49歳では女性の死亡率が男性の4~5倍に達したと報告されています(「ジェンダーと災害・バングラデシュのサイクロン対策」1996年)。2007年に発生した大規模サイクロンでは、男女間の死亡率の差が改善したことが示唆されていますが、女性が避難する際には、依然としてさまざまな障壁があります。例えば、市場などで警報がなり、家にいる女性に情報が十分に届かなかったり、男性が不在のときに家財を守らなければならないという意識から、避難をためらったりするケースもあります。こうした状況は、女性の避難の遅れにつながる可能性があります。
さらに、避難場所までの道路が洪水によって通行できなくなることや、シェルター内でプライバシーが十分に確保されていないことも、避難を難しくする要因です。女性や少女が暴力やハラスメントに遭う危険性に加え、生理用品などの衛生用品が不足していることや、安全面への不安から、シェルターへの避難をためらう人もいます。
このように、避難施設が存在し、警報が発令されていたとしても、誰もが安心して避難できるとは限りません。災害から命を守るためには、設備や制度を整えるだけでなく、人々が置かれている社会的な状況や、それぞれのニーズを理解した防災対策が必要になってきます。
では、誰もが安心して避難できる地域を実施するためにどのような取り組みが行われているのでしょうか。
後半では、「クルナ県コイラ郡におけるジェンダーに配慮した防災能力強化事業」の具体的な活動を紹介します。
インターン佐藤
