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家事使用人の支援活動のモニタリングで、支援センターのひとつを訪問した時のこと。女の子たちが楽しく授業を受けている最中に、入口のところでスタッフが誰かと話している声が聞こえてきます。何だろうと思って振り返ってみると、見知らぬ大人の女性が少しこわばった表情でスタッフに文句を言っているようでした。 

支援センターで授業を受ける女の子たち

支援センターで授業を受ける女の子たち

すると、授業に参加していた女の子の一人がスタッフに呼ばれ、慌てたように席を立ちました。そしてそのままその大人の女性と一緒にセンターから出ていってしまったのです。何が起きたのかスタッフに尋ねると、入り口で文句を言っていたのは女の子の雇い主で、1時間だけという約束でセンターへ行くことを許可したのに、その時間を過ぎても帰ってこないため女の子を迎えに来たのでした。
何度も電話を掛けたのにたまたまスタッフが電話の呼び出しに気づかず、連絡がつかなかったことが彼女の怒りを増幅させたようです。 

それまで本当に楽しそうに授業に参加していた女の子が、雇い主が迎えに来たのを知った途端、緊張した表情になった瞬間を目撃した私は、女の子たちが置かれている厳しい現実を目の当たりにした気がしました。

そのような厳しさの中で生きていかざるを得ない子どもたちが、一瞬でも子どもらしい時間を過ごせる場を継続していかなければ、そして子どもたちが働かないと生きていけない社会のあり方を一日も早く変えなければならない、という思いをさらに強くしたのです。 

16_07_29_9_269 (1)小松豊明(こまつ・とよあき)
事務局長
2001年にシャプラニールへ入職。フェアトレード部門、ネパール事務所長、国内活動担当を歴任。2014年より事務局長を務める。
2015年度よりJANIC(国際協力NGOセンター)理事。

 

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<この記事はマンスリーサポーターキャンペーン2020に際して執筆したものです。>