こんにちは!国内活動グループインターンの青柳沙恵です。

9月、10月と大規模な台風が立て続けに日本を直撃しましたね。
災害への関心が高まっている今、シャプラニールではネパール事務所職員のキル・バハドゥール・ガレを日本に招いて、日本全国を講演する全国キャラバンを実施しました!
講演では、ネパール国内の「地域で取り組む防災事業」についてお話しています。今回は、10/20に開催された全国キャラバン東京企画の様子を紹介します。

▼ネパールで実施している洪水対策事業について
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事業地のネパール南部チトワン郡のマディ市では毎年のように洪水が発生しており、住む場所や農地が洪水被害のリスクにさらされています。マディは比較的平坦な土地が続いていることから農業で生計を立てている住民が多く、農業に必要な作物が育てられる土地や家畜は彼らにとっての大切な財産です。災害から命を守ると同時に、土地や種、家も守る必要があることを力強く話していたことが印象的でした。

マディに暮らす人々が自分たちの家族や財産を守るために、シャプラニールは「チトワン郡における災害リスク軽減能力強化プロジェクト」を実施しました。

河川流域の住民から構成される災害管理委員会を結成し、これまで洪水が起きた時の経験から危険な場所を示したハザードマップを集落ごとに作成しました。また、事業を行うバンダルムレ川は上流から下流にかけて川幅が狭くなっており、中流域以降の地域で洪水が起こりやすい状態となっていました。川幅を広げて洪水が起こりにくくするために、河川流域に土地を持つ人々に何度も交渉を重ねて土地を譲ってもらうことがとても大変だったとキル職員は語ってくれました。

この事業を通して、一つの川という財産を河川流域の住民が一体になって守っていこうという意識が生まれ、住民自らの手で河川の修繕をするなど自分事として考えるようになったことが大きな成果とも言えます。

▼洪水防災技術専門家 眞弓 孝之氏(国土防災技術株式会社)のお話

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次に、専門家として技術指導をしてくださった国土防災技術株式会社の真弓氏から、専門家の視点で見たネパールの洪水事業についてお話していただきました。日本での事業のように資金が潤沢にある訳ではなく、技術も整っていないネパールでの事業ですが、工夫してできることがたくさんあったと言います。
河川の底に溜まっている流石を使って作った蛇篭を洪水が起こりやすい箇所に設置するなど、元々そこにあるものを使うことで解決できる問題がたくさんありました。

遠い国のように感じるネパールでの事業ですが、今回のキャラバンを通して、台風や洪水などの自然災害が増加している日本でも活かせることが多くあることに気づかされました。また、専門の視点からもお話していただくことで、より深く知って考えることのできる貴重な機会でした。

最後に参加者のみなさんからのお声を紹介します。

「地域の事情に適した事業を行えたこと、住民の自発的な行為を促すことにつながったことが素晴らしいと思う。」
「日本でも災害が多いので、日本の防災も考え直す必要があるのではないか考えさせられた。日本の防災もまだまだ途上の段階だと思う。」
「台風の被害が生々しい今の日本にも多くの学ぶべきことがあると思った。防災よりも『無関心でないこと』が重要だということ、本当にそうだと思いました。」

全国各地を周った今回の全国キャラバン。
いよいよ本日夜に開催する岡山講演をもって終了です。

▼岡山講演▼ 
開催日時:2019年11月1日(金)18:30~20:30
開催場所:岡山国際交流センター3F 研修室(岡山市北区奉還町2丁目2番1号)  [地図]
JR岡山駅から徒歩3分
定員:30名
参加費:1,000円
申込先/問合せ先:岡山NPOセンター 担当:白幡 Email:npokayama@gmail.com

各地でご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。

国内活動グループインターン 青柳沙恵