投機とフェアトレード

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この1週間、クラフトリンクの植田職員がダッカに滞在中。秋冬もののクラフト商品販売に向けた、取引団体との打ち合わせや新商品のサンプルチェックなどが目的です。私は内山職員の後任としての挨拶周りを兼ねて同行しています。
さて、先日取引団体のひとつである「ジュート・ワークス(JW)」を訪れたときのこと。
半年前に比べて単位あたりのジュート価格が倍以上に高騰しているとの話を聞いてびっくりしました。JWスタッフの話では、一部中間所得層が買占めをしていることが原因のようです。いわばちょっとした「ジュートバブル」が起こっている訳ですね。このバングラで、このような投機が起きていることを目の当たりにして衝撃を受けました。
ここ数年の原油市場を見ても明らかなように、投機対象となった商品の価格は乱高下しやすい傾向にあります。素材価格の乱高下は当然ながら製品価格にも影響し、その結果商品の発注金額、発注数も大きく変わらざるを得ません。これは製品の安定的な発注、安定的な価格での販売が難しくなる、ということを意味します。
そしてそれはつまるところ「生産者に安定的な商品発注を行うことによって生活向上を支援する」というフェアトレード活動そのものの運営が難しくなる、ということにもなりうるのです。
こうしたことが世界中のあちこちで起きているであろうということは想像に難くありません。そしてインターネットを介した金融取引が一般化した現在、「投機家」は特殊な存在ではなく、「個人”投資”家」として世界中に存在します。
今はまだバングラデシュの金融市場は未整備の状態です。バングラデシュに居住する者以外は株式の購入はできませんし、ネット証券やFX取引など皆無です(そもそも通信インフラの整備自体がまだまだです)。しかしBRICs、VISTAに続くNEXT11(ネクストイレブン)の一角として経済成長を期待される状況にあることは間違いなく、順当にいけば経済成長に伴って金融市場の整備も進んでいくと考えられます。
そうなると投資家だけでなく投機家も参入してくることでしょう。そのときフェアトレードは?生産者はどうなっているのだろう?そう考えずにはいられませんでした。金融市場が未整備な状況下でさえ、投機家が出現してきているのですから。
ただ現在バングラデシュが独立以来経験したことのない新たな局面にいることは確かです。そして私の目には、今まさに(公益性の低い)資本主義の大波に飲み込まれんとする姿のようにも映っています。
この大波の方向転換板になる!なんてことは到底無理な話ですが、せめて投機的行動が社会的弱者たる生産者に大きな影響を及ぼしうること、知らず知らずのうちに一個人であっても「投機家」になりうること、を伝えて行けたらと思います。
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2件のコメント

  1. j、フォキール on

    フェアトレードを通して、どの様な社会(=世界)を作るのか?
    金銭に全く疎い私ですら心配しています。
    欧に始まった産業革命が→米→日→韓→ロ→中→印→ いよいよ「バ」ですか?!
    先に汚染された者として、“共に生きていく”ために何をしなければいけないのでしょうか? バングラから発信して下さい!
    日本を世界を救って下さい!
    いま改めて、1972年だったか?! 当時のフランス文化相アンドレ・マルロー氏が来日した時に、シャプラ(当時はHBC=ヘルプ・バングラデシュ・コミティー)を立ち上げたばかりの日本若き獅子たちに言ったことばを思い出します。「バングラデシュによって救われますように!」(←だったかな?少し違うかも知れません) 1971年12月、苦難の末に独立を勝ち取ったバングラデシュ。荒廃して何もないバングラデシュに関わることによって、あなたたち(=日本の若き獅子たち)は救われて欲しい!と言ったんですよね!と言うことは、若き獅子たちに、バングラだけじゃなく「日本」と「世界」を救って欲しい!と言ったと私は解釈しています。マルローの根底にあるのは“平等”“その国のすばらしい歴史”。彼は来日して、日本の行く末を憂い、若き獅子たちを励ましたのです!時まさしく、国全体が高度経済成長にひたすら突き進んでいた時です。 その以前、第2次世界大戦が始まる前、ベンガルの詩人タゴールが来日しました。彼は、戦争に突き進む日本を痛烈に批判しましたが、時の要人たちは聞く耳を持たず排除しました。
    フェアトレードを通して見えてきた世界。
    さて、どうしましょうか?!

  2. すがはら on

    j、フォキールさん
    >先に汚染された者として、“共に生きていく”ために何をしなければいけないのでしょうか?
    大きなテーマですね。大きすぎて本当に「どうしましょうか?!」という感じです。こういう大きなテーマのゴール(問題解決)は、一足飛びに目指せるものではありませんね。。。そしてきっと多様なアプローチの仕方があるのだと思います。
    ただバングラデシュに身を置いている者として、まずは足元で起きている事象を正しく把握し、多くの人たちにお伝えしていけるよう、努めたいと思います。

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