バングラデシュでは年明け早々から米の値段が高騰し、1週間でキロ25タカの米が30タカ(1タカ=約1.7円)にまで上がってしまうような状況で、大騒ぎになっていました。2度の洪水やサイクロンで国内の米の生産が減った上、備蓄していた米が流されたり、大量の食糧救援が必要になったりで、米が足りなくなるだろうというのは皆が心配していたことだったのですが、ちょっと前まで政府はのほほんとしていたのです。

年明け早々からあまりのスピードで米価が急上昇し、国境警備隊(Bangladesh Rifles、BDRと略される)が直営する屋外マーケットに人々が早朝から長蛇の列をつくる状況が続いていました。ここ数日やっと政府がこの件についての諮問委員会を開いてタイやベトナムからの大量の米の輸入を決めたことを発表したり、市場の米価格を治安部隊が見回るようになったりしたため、昨日あたりからようやく米の値段が落ち着いてきたようです。

ちなみにバングラデシュ国境警備隊(BDR)は、主に国境警備にあたる準・軍組織なのですが、国境警備以外にも治安維持のための活動をいろいろやっています。現在は、その名も「オペレーション・ダール・バート(ダール=ダール豆、バート=米)」と名づけられた任務の一環として、米・ダール豆・食用油・塩などを安価に販売するBDRマーケットをダッカ市内の約200箇所で実施中。これは、物価の高騰で選挙管理内閣への非難が高まる中、断食月に入る直前の昨年9月1日から始まったもので、それほど質のいいものを売っているわけではないですが安いので、貧しい人たちは列に並んでここから米や豆などを買っています。

BDRマーケットでは1日に一人頭米3kgまでしか買えないことになっているので、年明けの米値上げパニックのピーク時には、貧しい女性たちが子どもを何人も連れて列に並んだりしていました。BDRの隊員は米を売った後、買った人の腕にペンで番号を書き込んだりします。同じ人が1日に何度も買えないように、です。

すでにインドの米は大量に輸入されていて、シャプラニールがサイクロンの食糧救援の際に現地パートナー団体を通じて配った現地調達の米も、かなりがインド米でした。これからベトナムやタイのお米が入ってきますが、果たして米パニックはおさまるかどうか。

政府はすでにサイクロン被災地の260万世帯にVGF(Vulnerable Group Feeding)カードを配って数ヶ月の米配給をすることになっていますが、これに加えてそれ以外の57万世帯の貧困家庭にVGFカードを配布し、5ヵ月の米配給をすることが発表されました。

カードを配った後で、米が足りなくなって配給が途中で滞る、ということだけはないようにしてもらいたいものです。