8月14日、15日で「Youth Forum2022~今こそ知りたい国際協力~」を開催しました。

このイベントは、シャプラニールのボランティアグループ「ユース・チーム」が毎年企画している中学生、高校生のためのイベントで、国際協力について考えることを目的にしています。

元々3泊4日の合宿型で実施されていた本イベントは、COVID-19感染拡大の影響でこの2年間はオンラインや日帰り型式での実施となりました。今回は、感染対策を十分とった上で、1泊2日の久々の合宿型の実施となり、実行委員の大学生もいつも以上に気合が入った様子で企画を作り上げました。当日は19名の中高生と10名の実行委員がワークショップを通じて、貧困や児童労働などについて考え、議論しました。

今回は2日間のイベントの様子を報告いたします。

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ワークショップでは和気あいあいとした雰囲気の中ディスカッションを行いました。

【ワークショップ】支援について考えてみよう
ある外国の村を訪れたとき、「お金がなくて困っている小学校に寄付をしてください」と書かれた看板を見つけます。看板と村の状況が書かれた資料を見て自分は募金をするか、しないか。その理由はなぜなのか、そしてより良い活動にするにはどうしたらいいか考えました。このワークを通じて、支援のあり方、支援や援助とはなんなのか、ということを考えました。
※このワークショップは開発教育協会DEARの教材を参考にしています。

参加者の声:
・いつも募金は何も考えずにしていたが、ワークでのディスカッションを通じて、募金をする前に、そのお金の行き先や、その国、町、村のことについて知るべきだということを学んだ。
・支援をすると言っても、支援される側の実情をしらなければ、求められる支援ができないのだと感じた。

【ワークショップ】難民について学ぼう
自分が突然難民になったとき、限られた物の中で何を持っていくのか、「持ち物」をきっかけに難民の気持ちを考えるワークショップ。そして、難民役と難民審査官役に分かれて、難民申請の手続きを体験するワークショップを通して、難民がどのような状況に置かれているのかについて理解を深めました。

参加者の声:
・ワークを通して、難民の受け入れの難しさや、経済、政情によって受け入れが左右されること、一筋縄ではいかないと感じました。
・初めは、難民の人たちは受け入れ先を見つけやすいのかなと思っていたけれど、実際は受け入れ先を見つけるのは難しいのだということがわかった。難民の人たちの気持ちを考えるきっかけとなった。

【ワークショップ】 異文化交流について体験してみよう
1つのグループが国となり、国ごとに「王様」や「貴族」、「お坊さん」、「平民」といった役に分かれます。それぞれのグループでは”国の習慣”としてそれぞれのルールが提示され、そのルールを守らなければなりません。自国とは違うルールを持つ国との交流を通じて、言語や文化が違う環境で、どうやったらお互いの違いを認め合えるか、当たり前ってなんだろう、そんなことを楽しみながら体験しました。

参加者の声:
・グループごとにそれぞれ文化が存在していて、それにより人の価値が変わることに驚きました。また、自分が見ている世界は意外と小さいことに気づきました。
・違うグループに行ったときに疎外感や違和感があった。自分がまるで気にかけていないことですらタブーとされていたり、逆に自分のグループに他のグループから人が来た時にも違和感があったり、これが実際の社会になるとより違いを大きく感じるんだろうなと思った。

ディスカッション内容はグループごとに発表しました。色々な意見がでてきました。

【ワークショップ】児童労働について考えてみよう
グループごとに、ある農村部に住む11歳の女の子を家事使用人として働きに出すかどうかを話し合いました。役割は少女、父親、母親、仲介人、雇用主、小学校の校長。ロールプレイを通じて子どもたちを取り巻く状況を体験し、それぞれの人の考えや思いを知ることで、複雑な児童労働の背景について学びました。
※この教材はシャプラニールが作成した開発教材です。こちらよりダウンロードいただけます。

参加者の声:
・貧困に対する見方が広がったように感じた。今までは、子どもが働く必要がなくなればよいとだけ考えていたが、それだけでなく、文化や人々の関係も絡み合っていて、全ての要素をとらえることの難しさとその大切さを感じた。
・ロールプレイで各役になりきって、それぞれの立場から状況を考えてみると、とても複雑な気持ちになりました。貧しい家族のためにお金は必要だけど、少女に辛い仕事をさせるのはよくないという葛藤もあり、もどかしかったです。

【対談】国際協力に携わるってどういうこと?
「国際協力の仕事」として、NGOや国際機関などの名前が思い浮かぶものの、実際にどのような経験を経て、どのようなことを行うのか、よくわからない・・・という中高生の方は多いと思います。そこで今回は、NGOや国連など、国際協力の現場での職務経験がある方をゲストでお迎えし、大学で国際協力論、開発学を専門としている教授との対談形式で、国際協力に携わることのイメージを深めました。

参加者の声:
・国際協力の現場で、実際に海外で働いていた方のお話を聞くのは初めてで、とても新鮮でした。実施の話を聞くのと、インターネットや本で情報を得るのとでは得られるものが違うなと思いました。
・国際協力といっても今まで漠然としたイメージしか持てておらず、自分のやりたいことって何だろうという状態だったが、お話を聞いて、色々なことをやっていくうえで、自分のポイントを見つけていこうと思った。当周りの経験が役立つと思うのでたくさん挑戦したい。

【ワークショップ】貧困の原因は貧困?
いくつか提示されたキーワードで貧困の連鎖について考え、どうしたら連鎖を断ち切れるのか議論しました。ワークを通じて、世界の貧困問題は様々な要因が重なり合っていることを知り、なぜ貧困が起こるのか、どうしたら解決できるのかを考えました。

参加者の声:
・貧困には様々な要素が絡み合っているから、解決しようとしたときに芋づる式にたくさん見つめなおす必要があり難しいと感じた。一つのことが様々なものにつながっていることがわかった。

国際協力の現場で職務経験のある方のお話にはみんな興味津々でした。

2日目のまとめのワークでは、YouthForumの感想を漢字一文字で表し、一人ずつ発表しました。いくつかご紹介します。

「輪」
人との輪が広がった2日間だった。年齢も住んでいる場所も異なる色々な人と出会い、視野が広がったと思う。 色々なワークを通じて 、物事について考えるときに、多角的な視点で見ることの重要性を実感できた良い機会になった。

「思」
世界の問題から顔を背けていた自分にとって色々考える良い機会だった。目の前のことだけではなく、世界のことを見ることができる人間になりたい。

「挑」
色々なワークを通して、国際協力で自分にできることは思っているよりも広くあると感じました。国際協力を進路にしたいと思いつつ、どのようにアプローチしたらよいか悩んでいましたが、遠回りだとしてもたくさんのことに挑戦していこうと思いました。

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参加者一人ひとりが、ワークショップを通じて、世界の課題をとらえ、自分事として考え、それぞれの意見を出し合う姿がとても印象的でした。そして、この2日間の最後には、感想として「今自分にできること」、「学びをこうやって活かしていきたい」という具体的なアクションも参加者から出され、嬉しく感じました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。また試行錯誤しながら準備を進めてきたユース・チームのメンバー、本当にお疲れ様でした。

海外活動グループ 菅野冴花