「海外にルーツを持つ子どもたちの今」 田中宝紀さんインタビュー【CHAPTER.3】

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「海外にルーツをもつ子ども」とは国籍に関わらず、両親またはそのどちらかが外国出身者である子どものことです。

10年以上前から海外にルーツをもつ子どもたちへの支援に取り組む田中宝紀さんに、日本で暮らす海外にルーツをもつ子どもたちが直面している問題や、多くの子どもたちの成長を支えるYSCグローバル・スクールでのご活動、共生社会実現に向けて私たち市民ができることなどについて伺いました。

【CHAPTER.1】 海外にルーツを持つ子どもたちを取り巻く問題
【CHAPTER.2】 子どもたちを支える「YSCグローバル・スクール」の取り組み
【CHAPTER.3】 子どもたちの可能性を広げられる社会にむけて

 

CHAPTER.3 子どもたちの可能性を広げられる社会にむけて

活動を10年続ける中で見えてきた変化

10年前、海外ルーツの子どもの存在はほとんどの人に知られていませんでした。しかし、大きな転機として2018年に改正入管法が成立したことをきっかけに共生社会の実現に向けた様々な施策が政府レベルで推進されるようになっています。それに伴ってこれまであまり積極的ではなかった自治体の意識にも変化がみられるようになりました。

また、メディアでも報道キャンペーンの中で海外ルーツの子どもの話題が取り上げられる機会が2018年以降すごく増えましたし、COVID-19禍を経て、より一層、外国籍だろうが日本国籍だろうが、同じ日本の国土の中で生きている、という認識が広まってきて、共にこの非常時を乗り切ろうとしている存在であるという感覚を、実感として持つ人も増えてきたかなと思います。

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海外ルーツの子どもたちの現状を多くの人に伝え続けてきた田中さん。最近は、何かしなければいけないと、新しく支援に取り組もうとする自治体や団体が増えてきているそう。

これからの活動

今後の活動としては今取り組んでいる海外ルーツの方の社会資源へのアクセスを確保に力を入れていきたいと思っています。
「YSCグローバル・スクール」がこれまで培ってきた多文化に対応するためのノウハウ、実戦での経験をもとにこれまで海外ルーツの子どもの支援を行ってこなかった団体さんや、ほとんどそうした資源がない散在地域の中でも受け入れができるようにお手伝いをしていきたいです。

また、オンライン授業の運用ノウハウを他の自治体に紹介したりもしています。極力子どもたちの近くでサポートがある状態に、少なくとも都道府県位の単位で散在地域の子供たちにオンラインで授業が配信されるとか、そういった段階に進んでいきたいと思っています。

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2020年に開始した多文化対応のノウハウを様々な団体に伝えていく「minc」の活動。

 

私たち市民が共生社会実現のためにできること

私たち一人一人は社会的な存在であり、個人として様々な側面から社会と接点を持っています。なので、自分が接点を持っている社会の中に海外ルーツの方々がどうしたら入れるのか具体的に考えていくということをぜひ皆さんに進めていただきたいです。

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例えば、学校の中でも学校のお便りをやさしい日本語化(注2)しようという取り組みをしているPTAさんが出てきたりしています。こういった動きは公益活動だけでなく民間の様々なサービスでも応用できるので普通の学習塾や子ども向けのプログラミングスクールなどで十分に合理的な配慮と日本語の壁を軽減することで子どもたちの可能性を広げることに繋がっていくと思っています。

「共生社会」というのはあくまで日常の延長に起きるものなので、生活のあらゆる場面に実現に向けてできることがあるんです。自分の日常生活の範囲の中で多様な人々が生きるためにどういうことができるのか考えて、具体的に動き出していく、それが今のタイミングで必要なことだと思います。

(注2)やさしい日本語:簡単な表現を使ったり、漢字にふりがなを振ったりして、日本が得意でない方にもわかりやすくした日本語

すべての子どもたちが「ふつう」に生きられる社会に

海外にルーツを持っているということだけで、個人の能力に関わらず失うものもありますし、環境的に得られるはずのものが得られない、あるいは持っているはずなのに、持っていないと思われるという状況も起きています。そういったマイノリティとしての苦しみから早く解放したい。海外ルーツの子どもたちがいずれ、海外にルーツがあることをあえて言及しなくてもいい、のびのびと生きられる社会になってほしいと思います。

みんな、「ふつう」の子どもたちなんです。あたりまえのように、それぞれがそれぞれの「ふつう」を生きていけること。その「ふつう」の中で不当な苦しみを抱えなくてもすむこと。その、あたりまえを子どもたちに届けていきたい。
まだちょっと時間はかかりますが、協力してくれる方はぜひ、してほしいと思います。

公式サイトには「ストップいじめ!ナビいますぐ役立つ脱出策」など大人・子ども向けに役立つ情報を掲載されている。

写真提供:YSCグローバル・スクール/YuichiMori

インフォメーション

<田中さんが取り組まれている活動詳細>
・YSCグローバル・スクール https://www.kodomo-nihongo.com/index.html
・NICO PROJECT https://www.nihongo-kodomo.net/
・minc https://minc-net.org/index.html

<海外ルーツの子どもたちのためのクラウドファンディングに挑戦中!(2021年11月30日まで)>
YSCグローバル・スクールでは、現在コロナ禍の影響により、 外国人保護者の失業や減収が相次ぐ中、 苦しい状況におかれた子どもたちが1人でも多く専門家と学び続けられるよう、 奨学金寄付を募るクラウドファンディングに挑戦中です。 みなさま、ぜひ温かいご支援をよろしくお願いいたします。
https://camp-fire.jp/projects/view/501138

<more information>
田中さんの公式Twitter https://twitter.com/iki_tanaka

 

 
 
 

【CHAPTER.1】 海外にルーツを持つ子どもたちを取り巻く問題
【CHAPTER.2】 子どもたちを支える「YSCグローバル・スクール」の取り組み
【CHAPTER.3】 子どもたちの可能性を広げられる社会にむけて


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