リレーエッセイ_SDGs_バナー02こんにちは。クラフトリンクグループのインターンの北川です。

リレーブログのテーマは、「フェアトレード× 持続可能な開発目標 SDGs」です。持続可能な開発へのグローバルな取り組みとして国際連合(以下国連)が設定した「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、以下SDGs)」と「フェアトレード」はどのように関連しているのか関連性の深い6項目をピックアップし、全6回でお届けします。

今回のキーワード「フェアトレード」

フェアトレードは、どのようにして「持続可能な開発目標」を達成できるのでしょうか。フェアトレードとは、公正な貿易(Fair Trade)を行うことです。社会的に立場の低い労働者が自立し、貧困から抜け出すことで、適正な賃金の支払いや労働環境の整備を目指す取り組みです。私たちは、このフェアトレードの理念に基づいた活動を40年以上行っています。この活動は、SDGsの達成に大きく貢献すると考えています。

【第3回】目標10「人や国の不平等をなくそう」sdg_icon_10_ja_2

目標10は、国と国との間にある不平等だけでなく、国の中での不平等を減らすことも目指しています。

「国の中での不平等を減らす」背景のひとつに、経済のグローバル化があります。経済は国境を越えて世界と結びつくようになり、途上国に著しい経済成長をもたらしました。これは、限られた途上国が先進国へ追いつくことを後押しし、国同士の経済格差は縮まることになりました。

しかしその結果、国内では貧富の差を拡大させることになったのです。理由のひとつは、経済成長の恩恵にアクセスできない社会システムの存在です。特定のグループや社会階層を差別するような法律や習慣により、取り残された人々の生活が向上できる機会を制限しています。著しい経済成長を経験していない国々も例外ではありません。

フェアトレードは「公正な貿易」と日本語で訳されるように、偏りなく対等な関係を目指しています。そこには、個人の人種、皮膚の色、宗教、性別、政治的意見、社会的出身などを理由とした雇用や職業の差別を許容しないことも含まれます。

そのためフェアトレードは、取り残された人々が安定した収入を得られる機会の確保や、差別の禁止を求める国際条約や国内法制の尊重を働きかけます。

SDGsでは目標10の中で、差別禁止に関連したターゲットを設定しています。

ターゲット10.2

2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。

ターゲット10.3

差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、並びに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。

差別を受ける当事者の声を聞き、不利な立場にある人々に寄り添うことを求める目標10は、フェアトレードの方針と合致していると言えます。

シャプラニールのフェアトレード活動

シャプラニールのフェアトレード部門であるクラフトリンクは、活動国の一つにネパールがあります。ネパールでは「カースト」の習慣が未だに残る地域もあります。今回は、ネパールのカーストによる差別や偏見についてフォーカスします。

クラフトリンク商品の一つに「フェルトバッグ」があります。「フェルトバッグ」は、羊毛のフェルトでつくられた本体に天然革の持ち手がついたフェアトレード商品です。

その商品を手掛けるのは、ネパールでフェルトや毛糸商品を中心に生産するクラフトリンクのパートナー生産団体「ACP(Association for Craft Producers)」です。「ACP」は、ネパールの「皮革職人(サルキ)」と呼ばれる「不可触民(ダリット)」の一階層へ、天然革の持ち手の製作を依頼しています。「不可触民(ダリット)」は、生まれながらにして低い身分とされている仕事に従事しています。

DSC01412「ACP」は、生産者へ適正な賃金を支払うだけでなく、ボーナス・医療補助・積立貯蓄制度などを提供しています。この制度は「皮革職人(サルキ)」として働く生産者も利用しています。その「皮革職人(サルキ)」が「ACP」の生産者として自作した皮革商品は、海を越えて日本の私たちへ届くようになり、仕事に対する自信につながっています。

このように「ACP」をはじめとしたフェアトレード団体が区別のない雇用条件を提供することは、周囲から認められる機会となるはずです。代々親から受け継いできた仕事に誇りを持っている場合、認められることで自分自身と仕事の価値を再認識するきっかけとなるでしょう。このような「ACP」の取組は、不平等を是正する組織の活動として広がっていくことが期待されます。

以上のことから私は、「カースト」や「不可触民(ダリット)」という言葉にこだわるのではなく、一人のネパール人として接することが大切であると考えました。なぜなら「ACP」は商品を通して、ネパール人であることはもちろんのこと、仕事に誇りをもつ一人の生産者であることも伝えているからです。クラフトリンクは、他のパートナー生産団体とも同様の活動を行っています。これらの活動は、人や国の不平等をなくす取り組みであると私は思います。

次回は、目標8「働きがいも 経済成長も」についてお届けします。

文: クラフトリンク インターン 北川諒

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