バングラデシュ先住民の子どもたちの文化教育支援

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バングラデシュやネパールには成長・発達、保護、参加といった基本的権利を享受できない子どもたちが多く存在します。シャプラニールは子どもの権利の中でも成長を阻害する「児童労働」と、健全な発達や社会参加に欠かせない「教育」について、とりわけ行政やNGOの支援から取り残された子どもたちや地域を対象とした活動を行っています。
 

多様な宗教、言語、生活 習慣を持つエスニックマイノリティの子どもたちが、多数派の子どもたち と同じように教育を受けることができるように、保護者を含む地域住民、学校、学校運営委員会、行政への働きかけを行います。同時に、独自の文化や言語に誇りをもって受け継ぐことができるように、コミュニティにおける活動や学びの場をつくります。

本事業は、第2フェーズ(2016年~2019年5月)の活動を振り返る終了時評価の実施を経て、2019年10月で終了しました。現在、これまで初等教育支援を実施してきたもう1つの地域と事業の成果を共有しながら取り組む新たな事業を策定中です。


プロジェクト名称みんなの学校プロジェクト
活動期間フェーズ2:2016年4月~2019年10月
(フェーズ1:2012年4月~2015年3月、フェーズ1延長:2015年4月~2016年)
活動地域ディナジプール県ショドル郡の 8 ユニオン(行政村、バングラデシュにおける行政の最末端単位)
予算規模約492万円(2019年度4月~9月)
裨益者数11,770人
パートナー団体GBK(ジー・ビー・ケイ)>団体紹介

私たちが活動で目指すこと

サンタルと呼ばれる先住民の子どもたちが、
地域の他の子どもたちと同様に、公立小学校での教育を
継続して受けられること。


問題の背景

バングラデシュにはベンガル人以外に約50もの先住民族が存在します。北西部のディナジプール県には文字を持たず独自の言語を話す「サンタル」と呼ばれる先住民族が多く暮らしています。
サンタルの子どもたちは、他の子どもたちと一緒に学ぶことを嫌がられ、いじめられるなどの差別を受けていました。ベンガル語での授業についていけなかったり、習慣の違いを理解されなかったりとした理由から学校に通わなくなる、進級試験で合格できず落第してしまう子どもの小学校修了率は国平均78%に比べ極めて低く進学を継続しているのは60.9%という結果が独自に行った調査で分かりました。

2012年よりサンタルの子ども達へ文化教育支援を行ってきました。第1フェーズ(2012~2015年)は、就学前の子ども(3~5才)を対象に、ベンガル語の読み書きや簡単な数字の計算などが学べる就学前教室を運営しつつ、先住民としてのアイデンティティを守るべく文化活動支援も実施しました。

ここではコミュニティ・モービライザー(以下CM、自身もサンタル民族出身で通学の付き添い、指導補助行う役割を担う)の育成に力を入れ、サンタルの子ども達が学習面でも生活面でも安心できる学習環境を整備しました。第2フェーズ(2016~2019年10月)は、本来教育の機会から取り残された子どものケアに当たるべき地方行政、学校、保護者等がその責任を自覚し果たせることを目指す活動にしました。

大きな成果として、CMとして働く女性たちが信頼、尊敬されるロールモデルとして、地域の関係者間でのコミュニケーションを円滑に進める、重要な役割を果すようになったことが分かりました。これは、これまで取り残された存在として扱われていたサンタルの人々が、自分達のコミュニティの問題に自ら取り組めるような環境の整備を目指して活動を行ってきた結果であり、それが地域社会の大きな意識、行動変化へとつながったと言えます。

関連資料:
・シャプラニールのオピニオン誌「もうひとつの南の風
「学校へ行こうプロジェクト」終了時評価からの学び(P1~7)


目標を実現するために取り組んでいること

子どもたちに対する取り組み

aborigines_children_02就学前の子どもたちを対象に、ベンガル語による授業に慣れておくための就学支援教室を開催します。公立小学校(事業対象は14校)の各教室にサンタル出身の補助教員を配置し、通訳や小学校への送り迎えなどさまざまなケアを行います。サンタル出身の女性が子どもたちのお世話係(コミュニティ・モービライザー)としての役割を担っており、子どもたちのロールモデルにもなっています。

 

親に対する取り組み

aborigines_children_05就学支援教室の子どもたちの親に対して、栄養サポートのための家庭菜園用の種や苗を提供し、野菜づくりについても教えます。経済的な理由で就学が難しい家庭には教育費を支援します。

 

学校(教師)に対する取り組み

aborigines_children_04サンタルの文化について理解を深められる学校行事を開催する機会を作ります。また、学校運営委員会(PTAのようなもの)にサンタル出身の親が1名以上選出されるよう働きかけます。事業実施期間中には、コミュニティ・モービライザーが1名小学校の教員補佐として採用され、人件費も支援されるようになりました。

 

地域・社会への取り組み

aborigines_children_03ベンガル人の子どもも地域の就学前教室に通えるようにし、幼少期からの文化交流を促します。また、教育事務所や学校運営委員会、サンタルの問題に取り組んでいるNGOと関係を深め、教育関係者のサンタル民族に対する理解を高めます。

 

企業・団体との協働

domestic_servant_06さまざまな企業や団体から、ご寄付での支援、物品寄付「ステナイ生活」での支援、現地の事業への直接支援などでご協力をいただき、事業を進めてきました。SDGs・CSR活動にご興味ある方・お問い合わせはこちらをご覧ください。


動画でみるシャプラニールの活動


これまでの成果とSDGsへの貢献

重点分野のひとつ「子どもの権利を守る」取り組みが具体的にSDGsのどの部分の達成に貢献しているのか、該当するゴール、ターゲット、およびその達成度を測るために設定された指標に照らし合わせました。

SGDsのゴール4「質の高い教育をみんなに」該当ゴール 4
すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する


ターゲット 4.5
2030年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子供など、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。

どのような貢献をしているのか
2016-2018年の3年間、8つのユニオンにある14の公立小学校を対象に先住民の子どもたちの教育環境を整備するための取り組みを進めてきた。2018年の学期末試験(1-5年生)では、多数を占めるベンガル人の子どもの97.8%が試験を受け、そのうち71.9%が合格したのに対し、先住民の子どもは99.3%が試験を受け、そのうち78.3%が合格した。

関連資料
・会報南の風287号 特集:シャプラニールの活動から見るSDGs
・外務省公式サイト  日本のSDGグローバル指標の進捗状況について

パートナー団体紹介

団体名Gram Bikash Kendro
(略称:GBK、略称読み:ジー・ビー・ケー)
団体概要1993 年、ディナジプールにおいて社会的な問題に強い関心をもつ若者たちによって始められた。
先住民、女性、子ども、障害者など社会的、経済的に不利な立場におかれている人々が、エンパワメントされて本人や周辺が変化を促すための活動を行っている。
先住民支援では基礎教育に力を入れており、同時に先住民としてのアイデンティティを守るための文化活動も盛んである。
また土地権利の問題などに力を入れている。
年間の予算規模は1 億3,406万円(2010年度)スタッフ数は533人。
 

現地活動ルポ


ご支援のお願い

シャプラニールは、皆さまからのご寄付やボランティアに支えられ、1972年より独立間もないバングラデシュの農村での活動から始まり、そして現在はネパールへも活動を広げ、現地の声を聞き対話を重ねながら支援から「誰も取り残さない」活動を続けることができています。

これからもこの活動を続けるには、皆さまの継続的なご支援が不可欠です。子どもたちが適切な教育を受け、社会の一員となり生活することを支援するこの活動を、ぜひ一緒に支えるてくださいませんか。

ご支援の方法はいくつかあります。ご寄付(今回のみ、月々)、物品のご寄付など、ご都合のよい方法でご支援をお願いいたします。

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