リレーエッセイ_SDGs_バナー02

こんにちは。クラフトリンクグループのインターンの北川です。

リレーブログのテーマは、「フェアトレード× 持続可能な開発目標 SDGs」です。持続可能な開発へのグローバルな取り組みとして国際連合(以下国連)が設定した「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、以下SDGs)」と「フェアトレード」はどのように関連しているのか関連性の深い6項目をピックアップし、全6回でお届けします。

今回のキーワード「フェアトレード」

フェアトレードは、どのようにして「持続可能な開発目標」を達成できるのでしょうか。フェアトレードとは、公正な貿易(Fair Trade)を行うことです。社会的に立場の低い労働者が自立し、貧困から抜け出すことで、適正な賃金の支払いや労働環境の整備を目指す取り組みです。私たちは、このフェアトレードの理念に基づいた活動を40年以上行っています。この活動は、SDGsの達成に大きく貢献すると考えています。

【第2回】目標12「つくる責任 つかう責任」sdg_icon_12_ja

SDGsの目標12は、「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを求めています。この目標は、「これまでと同じような生産と消費を続けていけば、持続可能な社会を形成することはできない」という考えが前提となっています。「持続可能性」とは、地球環境の持続可能性と人間の社会経済システムの持続可能性も含まれると言われています。

フェアトレードは、これまでの生産と消費からなる社会経済システムではない「オルタナティブ(代替案)トレード」を目指す概念を含んでおり、目標12と通じる部分があります。

目標12の中でフェアトレードに関連するターゲットは、以下2点になると考えられます。SDGsは、「目標」と「ターゲット」で構成されています。「ターゲット」とは、具体的な課題の達成内容です。

ターゲット12.7

「国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する」

公共調達の市場への影響力は非常に大きく、OECD諸国平均ではGDPの約12%、途上国では約30%を占めます。実際にフェアトレードは、公共調達市場へ広がりを見せています。日本の例として、フェアトレードタウンである名古屋市は、5月のフェアトレード月間に合わせて、小学校給食にフェアトレード認証の白ゴマを使用しています。

ターゲット12.8

「2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報を持つようにする」

生産と消費は、行政や企業の活動だけの問題ではありません。私たち1人ひとりの購買は、行政や企業の活動方針へ影響を与えています。生産と消費のパターンを持続可能なものへ変えていくためには、フェアトレード商品を無理のない範囲で購入するなど、一人ひとりのライフスタイルを見直すことが必要です。

フェアトレードの考え方は、今までの消費のあり方を振り返る大変示唆に富んだものと言えます。私たちの生活は、生産と消費を通して知らず知らずのうちに途上国を含めた外国と密接に関係しています。その生産と消費の裏には、不利な立場に置かれた生産者がいることをフェアトレード商品とアドボカシー活動で消費者に知らせます。

以上のターゲットを達成するための消費者の取り組みとして、フェアトレードの調達と地域への浸透を促進する「フェアトレードタウン運動」があります。「フェアトレードタウン運動」とは、行政・企業・市民などが一体となってフェアトレードの輪を広げることです。日本国内のフェアトレードタウンは現在、熊本市・名古屋市・逗子市・浜松市です。

シャプラニールのフェアトレード活動

シャプラニールのフェアトレード部門であるクラフトリンクは、日本の「フェアトレードタウン運動」と深い関係にあります。今回は「フェアトレードタウン逗子」との関係を紹介します。

初めに「ターゲット12.7」の点です。逗子市では、ふるさと納税の返礼品としてクラフトリンクの商品が選ばれた経験があります。この公共調達は、バングラデシュとネパールの生産者のより良い生活へつながるだけでなく、逗子の地域活性化にもつながる斬新な取り組みの先駆けと言えるでしょう。

クラフトリンクの生産者

「ジムロックサボンファクトリー」の女性たち。

「ターゲット12.8」の点では、クラフトリンクのパートナー生産団体から、ナチュラル石鹸ブランド「She with Shaplaneer」の「Sheソープ」をつくる2団体が逗子を訪れ、講演を行いました。逗子を訪問した団体は、バングラデシュの「セイクレットマーク」とネパールの「ジムロックサボンファクトリー」です。この取り組みは、実際に消費者と生産者お互いの顔が見える機会となりました。生産と消費は物の取引だけでなく、私たちと生産者の関係性に価値を置いた取引だということが理解できた場だと思います。

このようにクラフトリンクは、持続可能な生産消費形態を確保するために、生産者の顔が見える手工芸品を販売していきます。なぜなら商品を手に取ったときに生産者の顔が見えることで、生産者が置かれている立場や生活の状況を考えることにつながります。それは商品の裏側に多くの人々が関わっていることを再確認し、自身の生産と消費を振り返る機会となるはずです。

次回は、目標10「人や国の不平等をなくそう」についてお届けします。

文: クラフトリンク インターン 北川諒

関連する活動