昨日の夜、産休に入っているカトマンズ事務所のスタッフ、スリジャナから携帯にメッセージが届いた。

「今朝女の子を出産しました」

予定より早く産まれそうということで1週間ほど前から入院して様子を見ていたので、2、3回お見舞いに行った。先週の木曜日も会いに行ったが、安定している様子だったので安心していたら、少し早めに産まれてしまったという次第。早速、別のスタッフと今日病院を訪れることにした。

スリジャナは少し疲れた顔をしていたが、私が昨日訪問したNFEクラスのことなどを話したら俄然元気を取り戻し、あれこれ質問をし、さらには彼女が担当しているクラフトの仕事についてもいくつかの指示をくれた。(スリジャナの不在中クラフトの仕事は私が担当することになっている)

しかし話をしている間中気になったのが、妙に厚着をしている彼女。外に比べて建物の中は涼しいとはいえ、昨日などは30度まで気温が上がっているのに、スリジャナときたらショールを羽織り、靴下を履いている。挙句の果てに、マチコ巻きのようにショールで頭を包もうとしている。あまりにも私が不思議そうな顔をしているのが分かったのか、理由を説明してくれた。

出産直後の母親の体が冷えることは、年を取ってから体の不調につながると考えられており要注意なのだそうだ。中でも頭は一番注意しなくてはいけない。体を温めるために、毎日2回からし菜油で全身のマッサージもするのだそうだ。ちなみに生まれたての赤ん坊も同じくからし菜油でマッサージをするという。赤ちゃんの肌も骨もまだ柔らかいから、頭の形だって変えられるのだそうだ。「整形手術みたいなものね」と言って、そばにいた人たちが笑っていた。

道理でネパールの人たちはみなすらりと伸びた脚をしているわけだ、なんて妙に私も納得してしまった。そういえば、バングラデシュの事務所でも小さな子どものいたスタッフが、冬は日光浴とからし菜油のマッサージをすることで赤ん坊が風邪を引かずに健康でいられるという話をしていた。

これもやはりバングラデシュでの話だが、冬場になると男の人たちがマフラーですっぽりと頭を覆っている姿を目にする。下は薄手のルンギをはいたり、はだしにサンダル履きでいても頭だけは重装備の姿は、微笑ましい冬の風物詩だった。風邪の邪気は頭(耳)から入ってくるものだと言われ、霧が出ると「頭を布で覆いなさい」と、皆真剣に注意してくれたものだ。

東洋医学の経絡(つぼ療法)でも風邪の引き始めには、首のマッサージや首を温めることで風邪を撃退できると言っていたっけ。日本からネパールまで、どこかできっとつながっているんだ。