ネパール大地震(ネパールでの正式名称は、震源地の名前をとってゴルカ地震といいます)が発生してから丸2年が経とうとしています。

普通に街を歩いていると、何事もなかったかのような日常が過ぎていますが、一歩街の奥へ、あるいは山の中へ入っていくと、崩れたまま放置されたレンガ造りの建物や、今も薄いトタン板とありあわせの木材でつくられた仮設の小屋で避難生活を続ける人たちの姿があります。

未だネパール大地震の傷跡が残る世界遺産のカトマンズ・ダルバール広場

未だネパール大地震の傷跡が残る世界遺産のカトマンズ・ダルバール広場。(2017年2月22日撮影)

ネパール政府はおよそ70万軒と言われる全壊世帯を対象に、住宅再建費用として合計30万ルピー(約32万5千円)の支援を決めています。これは住宅の施工段階によって3回に分けて支給されることになっており、これまでに1回目(5万ルピー)の支給は概ね済んでいます。しかし、「生活費に消えてしまった」「どうやって申請すればよいのか分からず、支給リストには載っていない」といった声もよく耳にします。

しかし、被災者の人たちが下を向いて生きているかというと、そうではありません。

少しずつでも元の生活へ戻るため、あるいはよりよい暮らしを実現するために、みんなたくましく生きています。
辛い状況であっても、笑顔で応えてくれる人々に、逆にこちらが勇気をもらうこともあります。私たちは、そんな人たち応援するために、わずかながら復興のお手伝いをしています。

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現在、被災規模の大きかった5つの郡を対象としたコミュニティセンターの運営支援と、カトマンズ盆地内の住宅密集地域を対象とした復興支援・防災活動を行っています。

コミュニティセンターは、東日本大震災後の福島での経験を活かして、被災者の居場所づくりと情報伝達を主な目的としています。それぞれの地元のコミュニティラジオ局に併設する形で、被災者がいつでも来られる環境を整え、情報提供を行うとともに、常駐のスタッフが必要に応じて相談に応じています。3月いっぱいでシャプラニールからの支援は終了しますが、これまでの活動が地域に受け入れられており、利用者や他の団体からも「ぜひ続けて欲しい」という声が強く、各ラジオ局は「今後も自分たちでやっていきたい」と意欲を見せています。

もうひとつのカトマンズ盆地内の復興・防災事業では、地震によって家や仕事の糧を失い、困窮している世帯を対象とした生活向上支援を行っています。対象となっているのは、ほとんどが元々経済的に非常に厳しい状況の中で暮らしていた人たち。古いレンガ造りの住居が密集する地域で、代々受け継いだ持ち家があったため現金収入が少なくてもなんとか生活は成り立っていました。しかし今回の地震でその家に住めなくなったため、家賃を支払い部屋を借りて暮らさなければならなくなりました。
福島での復興支援でも経験したことですが、災害発生から時間が経つにつれ、災害以前から存在していた社会課題が顕在化することを、ネパールでも痛切に感じています。
そして、巨大地震がまたいつ来てもおかしくないと言われている状況の中、住民自身の力で被害を軽減するための防災の取り組みも、同時に進めています。

生活向上支援の対象者スニタさんは、地震で大きな被害を受けました。

生活向上支援の対象者スニタさんは、地震で大きな被害を受けました。自宅で縫製の仕事をして生計を立てています。

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ネパールの新聞には地震からの復興に関する記事が今もほぼ毎日掲載されています。

日本ではネパールの地震について報道される機会もほとんどなくなったと思いますが、少しでもネパールの復興について関心を持ち続けていただければ嬉しいです。それがきっとネパールの人々が復興へ向けて進む力となり、より多くの笑顔が見られるようになると信じています。

(事務局長、カトマンズ事務所長 小松豊明)

 

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