シャプラニールの若手職員が集い、これまでの自分、これからのシャプラニールについて座談会形式で語り合いました。今回はインタビュー記事後編です。前編はこちら

Q3 シャプラニールの変えたいこと、変えたくないこと?

菅野:2021年から新規事業として在住外国人支援の活動を進めていると「50年の歴史」が絶対に失敗できないぞ!というプレッシャーと感じてしまうことがあります。もちろん自由に活動ができないということではないのですが、たとえ失敗するかもしれないことでも、まずはやってみようという環境が常に欲しいですね。

下鳥:以前、設立から間もない団体でボランティアをしたとき「やってみてだめなら次!」という軽やかな姿勢をすごく感じました。シャプラニールは50年の歴史のなかで、経験、知見、つながりがほかの団体にはないくらい蓄積されていると思います。それがプレッシャーのように重い一つの塊としてのしかかるのではなく、それらを誰もが登りやすい階段のようにうまく積み上げて、高く飛ぶための未来へのステップとして生かしていけるといいなと思います。

髙階:新しい団体にはない知見やつながりは、シャプラニールに長くかかわっている方は把握していても、私たちが知り尽くせていないこともありますよね。会員、マンスリーサポーター、ボランティア、寄付者の方々とのつながりを生かしきれないことはすごくもったいない。私たちはたくさんのつながりにアクセスする努力をもっとしなければいけないのだと思います。

和気あいあいと話す若手職員

ダハル:新しい事業にチャレンジしていくと新しい課題も生まれてきますよね。私たちは職員としても社会人としても経験は長くはないので、どうしても失敗は起きてしまうと思います。歴史はもちろん大事ですが、私はもっと挑戦する環境に変えていきたい。これだけの支援者の方がいるのだから、もっと挑戦できる環境で、困った時にはアドバイスをもらいながら一緒に活動していきたいです。
 それから変えたいことの一つに「事業を絞る」ということがあります。児童労働、地域防災、在住外国人支援、フェアトレードと多岐に渡る活動に取り組んでいますが、いくつかの分野に絞ったほうが高い専門性を持ってもっと効果的な活動ができるのかもしれません。「困った時にアドバイスをもらう」場合も、ある程度分野を絞った方がアドバイスを求めやすいかもしれない。でも職員の育成は、専門的な知識を深めていくのか、総合的に経験を積むのか、判断が分かれると思いますけどね。


下鳥:私もそう思います。例えば、誰かが「児童労働」について調べたとき、専門的に取り組んでいる団体の方がやっぱり先に目につきますし、覚えてもらえる。手広い活動だと、せっかく素晴らしい活動を行っていても認識してもらえないかもしれません。現地駐在員もさまざまな専門知識が必要になりますし、もう少し活動分野を絞って専門性を上げていくことに賛成です。

:シャプラニールはこれまで分野ではなく、南アジアの文化や言語など、地域事情に詳しいという専門性を強みにしてきました。でも、そこまで一つの国や地域にこだわらなくても良いのかもしれません。例えばバングラデシュは、1972年の独立直後の状況とはもちろん全く違っていて、さらに5年前、1年前と比べても経済状況や生活環境などがどんどん変化をしている。私たちの活動地でもすさまじいスピードで変わっています。一度、日本のNGOとして現在の活動地にかかわる意味を私たち自身が問い直す機会をつくってみても良いのではないでしょうか。


下鳥:一方で活動が多岐にわたるからこその魅力もありますよね。例えば、寄付だけはなく、フェアトレード商品を買ったり、ボランティアに参加したりと扉がたくさんあることで自分にあったかかわり方を見つけられる。ボランティアの皆さんが本当の身内の甥っ子姪っ子のことのようにシャプラニールのことを話してくれるんです。団体名の通りベンガル語の「ニール」=「家」の趣は変えないで残していきたい。また、さらに扉がオープンになって、簡易テントのような、どこにでも行けて、雨が降ったらみんながすっと入れる、そんな柔軟で軽やかな「家」のようになっていくといいなあと思います。


髙階:今回の話を通じて、シャプラニールの市民団体としての価値、そして役割を改めて考えることができました。「市民」とのつながりを大切に、新たな視点も取り入れながら活動を進めていきましょう!


Q4 これからのシャプラニールでやりたいことは?

日本とネパールの架け橋になる!(ダハル)

文化や市民同士の交流やつながりをもっと強めていきたい。カフェのように誰もが集えて、気軽に話すことができる、気軽に海外協力にかかわれるような場をつくる。

大好きなシャプラニールをもっと世界中に知ってほしい!(峯)

海外のNGOや市民社会組織の国際的なイベントで登壇したり交流を深め、ゆくゆくは海外にも支援者の輪を広げたい。ボランティアとのかかわり方や組織運営の在り方もなど、団体としての素晴らしさをもっと海外の人に伝えたい。

支援者と活動の「つながりの見える化」!(下鳥)

現地とのつながりや自分がやってきた活動が形に残って見え、関わることでやりがいや喜びを見つけられるように。シャプラニールをもっと「推したい!」と思ってもらえるようにする。

やりたいことはたくさん!(菅野)

ボランティア、学校に行くのが辛くなってしまった子どもたち、子育てをする外国人の方など、誰でも集って話せるカフェのような事務所にしたい。ネパール駐在もしてみたい!


会報「南の風」297号掲載(2022年9月発行)
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