初めまして!新しく事業推進部インターンに入りました佐藤由佳子です。
ネパールの児童労働予防と削減事業で、子どもの立場から児童労働のリスクや子どもの権利、児童保護について、地元のコミュニティに対して啓発発動を行っている「子どもクラブ」についてご紹介します。

子どもクラブとは?
「子どもクラブ」とは、地域の子供会と生徒会を組み合わせたような、子ども主体のコミュニティであり、学校、区、市村、郡ごとに結成されています。「子どもクラブ」においては、劇やサッカー大会、美術コンテスト、スピーチコンテストなど、様々なイベントを企画、実施するだけではなく、地域社会に対する取り組み、防災、保健に関して行政への政策提言なども行っています。
参加する子どもたちが社会やコミュニティに対して、問題意識と当事者意識を持ち、主体的に問題を解決する力やコミュニケーション能力を育む場所となっています。シャプラニールでは、「子どもクラブ」に参加している子どもたちと児童労働について考える場所をつくり、子どもの権利がどのようなものなのか、どのように守られるべきなのかを子ども自身が問い、子ども自身が児童労働撤廃に向けて啓発活動を行っています。
子どもクラブの活動とは?
事業の中では、区レベルの「子どもクラブ」のメンバーに、子どもの権利と保護、児童労働に関する法制に関する研修を行っています。事業では、事業対象地であるヘタウダ市とマナハリ村において、地元のコミュニティラジオ一局と協定を結び、子どもの権利と保護、児童労働に関するラジオ番組を放送しています。実は、このラジオ番組は、研修を受けた「子どもクラブ」メンバーが作成したもの!インタビュー、取材、編集の方法などについて3日間学んだ「子どもクラブ」のメンバーが実際につくった番組を放送しています。

実際どのような番組を放送しているの?
例えば、今年の7月にヘタウダ市で放送された番組では、児童労働撲滅に関する詩の朗読からスタート。児童婚に関するエッセイの紹介から、マクワンプール郡の学校で実施されている児童保護の順守基準などを報告しました。その他にも、実際に子どもの保護に関して先頭に立って活動しているヘタウダ市の学校運営委員会委員長にインタビューを行い、通学を妨げている薬物中毒の問題に関する注意喚起や、子どもと教育、健康についての啓発促進の必要性を訴えました。
マナハリFMで放送された番組は、児童労働反対世界デー(2026年6月12日)のスピーチ大会で1位と2位を授賞した子どもたちのスピーチを放送しました。「レンガと鉄筋じゃなくて、ノートとペンを持つのだ。」「仕事じゃなくて学校に送ってくれ。」子どもの目線からのまっすぐなメッセージが、ラジオを通して届けられました。それ以外にも、マナハリ地区の教育長へのインタビューを行い、デジタル機材の導入など、学校の環境改善に向けた取り組みや、貧困を理由に継続的な通学を諦める学生に対して奨学金のプログラムの紹介、学校児童保護方針(School Child Protection Policy)の実施などが報告されました。子どもの権利は何なのか、先生たちが出来ることは何なのか、保護者の責任は何のか、改めて問い直すものになっていました。

ラジオ放送を通じて伝えたいこととは?
「子どもクラブ」のメンバーによるラジオ番組の制作、放送は、実際に子どもたちが提唱者となり、児童労働の撤廃を目指す活動になっています。子どもたち自身の言葉で発信するからこそ、同世代の子ども達や地域の人々により身近で力強いメッセージとして届けることができています。
また、こうした活動は、メッセージを「発信する側」と「受け取る側」の双方にとって、エンパワーメントにつながります。番組を制作する子どもたちは、取材やインタビュー、情報発信を通して、自分たちの声で社会を変えていく力を身につけていく一方、番組を聴く子どもたちや地域の人々も、子どもの権利や児童労働について知り、自分たちの暮らす地域の課題を考えるきっかけを得ることができます。
子どもたちへの研修、子どもたち自身による情報発信、そして地域社会への啓発を組み合わせることで、子どもたちを「守られる存在」としてだけではなく、社会を変えていく主体として捉えることができます。このように、「子どもクラブ」のラジオ番組は、児童労働の撤廃に向けた啓発活動にとどまらず、子ども自身の力を育み、地域全体の意識と行動を変えていく、複合的な支援の一つとなっているのです。
このように、よりよい社会に向けてパワフルに活動している「子どもクラブ」。日本でも、実行委員会や生徒会はありますが、社会問題をテーマとして子ども達が主体の社会活動をみることは少ないと思います。まだ幼い時から、当事者意識、問題意識を持ちながら啓発活動を行う事によって、「社会をより良いものにしていこう!」「自分たちで変えていこう!」という意識が生まれるのではないでしょうか。
インターン佐藤由佳子
