地震から1年が過ぎたけれど

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ネパール大地震の被害が大きかった地域のうち、5つの郡でコミュニティ・ラジオ局と協働したコミュニティスペースの運営を続けています。そのうち、比較的首都カトマンズから近いカブレパランチョーク郡にあるラジオ・ナモブッダを訪問しました。

村人の声をラジオに乗せて社会に届ける

村人の声をラジオに乗せて社会に届ける

このコミュニティスペースには開設直後からたくさんの人が訪れています。この日集まってくれた利用者からいろんな話を聴くことができました。その中のひとり、ニルマラさんは、夫が14種類もの薬を飲み続けなければならないほど重い精神障害を抱えているために働けず、彼女が生計を担っています。ラジオ・ナモブッダの清掃の仕事を含め、いくつもの仕事を掛け持ちしているニルマラさんですが、そんな苦労を全く感じさせないほど、明るく快活な女性です。このコミュニティスペースで会った人たちも、しばらくは彼女の身の上について全く知らず、「元気な人だ」と思っていたそう。「このセンターで初めて他の人に私の家族や生活について話すことができて、とても気持ちが楽になりました。それまでは人に話すことがためらわれ、独りですべてを抱え込んでいましたから」と話してくれたニルマラさん。この日も「次の仕事があるから」と元気にセンターを出て行きました。

コミュニティスペースを出た私たちは、多民族国家ネパールの中でも開発から取り残されていると言われるダヌワルの人々が暮らす、ジャレタールという集落を訪れました。ここは地震の被害が大きかったにも関わらず、市街地から遠く離れていることもあり支援から取り残されているといいます。この集落出身のラジオ・ナモブッダのスタッフの案内で集落の様子を見て、村人の話を聴きました。がれきの置き場がない、食料を保存する術がない、乾期は水が枯渇し飲料水の確保が困難といった問題があるとのことでした。しかし何よりも、およそ100世帯ある家のすべてが地震で住めなくなった状態ですが、家の再建支援は全く届いておらず、被災世帯の調査も行われていない状況に、投げかける言葉も見つかりません。

同行したラジオ・ナモブッダのスタッフが、こうした村人の声をラジオで伝えるために、私たちが支援した移動用の録音機で記録しました。このように地震から1年がたってもまだ何も復旧作業が進んでいない地域がたくさんあります。私たちには、少なくともこうした現実をきちんと伝えていく責任があると考えています。

カトマンズ事務所長 小松豊明

 

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