制服を着て集団登校するサンタルの子どもたち。通学路には背の高さの倍くらいのトウモロコシが育っています。

制服を着て集団登校するサンタルの子どもたち。通学路には背の高さの倍くらいのトウモロコシが育っています。

ディナジプールの中心街から南へおよそ6kmのところに、コルナイ・チョプラパラという村があります。中心街から村へ続く道路はなく、電線も通っていません。たった一つ存在する道は畑のあぜ道で、雨季には村へのアクセスが非常に困難になります。村の人々は日雇い労働で生計を立てており、そのほとんどが教育を受けていないため文字を読むことができません。教育に対する両親の理解が不十分であったことから、児童労働に従事する子どもや、早婚する子どもたちもいました。また、通学していた子どもでも、小学低学年で落第し、家計のために働き始めるケースもあります。この村の中で高等教育を修了した人はまだ一人もいません。

こうした中、GBKは2012年4月からこの村を含む3つのユニオン(日本の区町村にあたる)でこの事業を開始しました。目的は、先住民族サンタルの子どもたちの公立小学校への就学支援を通して、地域の教育状況を改善することです。そのための手段として、私たちは就学前教室を設置して4~5歳に達したサンタルの子どもたちに対する授業を開始するとともに、学校教師やサンタルの両親に対する啓発活動を行い始めました。

事業開始から2年が経過した頃から、この村のリーダーや、両親たちの意識が変わってきたように思います。現在では、村の子どもたち18人全てが公立の東コルナイ小学校に入学し、通学を続けています。また、サンタル以外の地域住民の投票により、サンタルの女性が学校運営委員会の委員に選出されました。小学校教諭も定期的にサンタルの世帯を家庭訪問するようになるなど、サンタルの子どもたちにとって教育を受けやすい環境になってきています。

就学前教室も今はもう必要なくなりました。行政が公立小学校で就学前児童を対象としたクラスを行うようになったためです。これまで就学前教室で教えていたスタッフは公立学校の教員補助をしています。村のリーダーは、「GBKが我々に正しい道筋を示してくれたことに感謝したい、教育を受けた子どもたちが将来コミュニティをより良くしてくれることを望む」と話しています。

ラッキー・マランディ(プロジェクト・コーディネーター、GBK)