ネパール マクワンプール郡マナハリ村で行なっている地域で児童労働を減らすためのプロジェクトアシスタントプログラムマネージャーのシルヴァ・バイディヤさんから現地の様子をお伝えするレポートが届きましたので、紹介します。

マナハリ村6区は山の上。棚田が広がるネパール農村部の風景

マクワンプール郡マナハリ村で児童労働を減らす目標を達成するためには、働く子どもがいる家庭や児童労働に子どもが出てしまいそうな家庭への支援だけでなく、コミュニティレベル(区)また地方行政レベルでの取り組みが必要だと事業開始前から考えていました。そのため、2021年5月に事業を開始してから村の児童保護の仕組みを強化する最初の取り組みとして、村長らと協動し、村の児童保護ポリシーを策定しました。策定の過程で、子ども、女性、高齢者に関する取組みへの予算は全体のわずか0・63%しかないことがわかりました。村の人口の3分の1を占める子どもに対して、毎年この程度の予算しか充てられていない状況を変える必要があると感じました。


そこで、児童保護ポリシー策定の議論をするなかで子ども関連の予算は大切な投資であることを話し、予算の割合を変えていくよう提案しました。最終的に、児童保護ポリシーには村の全体予算の15%を児童保護、子どもの権利の普及啓発や実現のための取組みに充てることになりました。このポリシーは事業が終わっても村が守るべき大切な方針であり、村の子どものためになる取り決めだと信じています。これからは特に地方行政のみならず集落開発委員会や児童保護権利委員会、子どもクラブなど地域の人々を巻き込んで話し合いを行っていくことが有効だと感じています。

基礎調査で使用する質問項目の精度を確認するため、地域の一般住民に事前テストに協力してもらっている様子
児童保護ポリシーの最終案を村長に提出している様子


また、同時期に事業対象地の子どもと世帯の現状調査を行いました。現在、収集した情報をまとめている最中です。この情報を基に児童労働に陥りそうな子どもへの直接的な支援だけでなく、保護者の生計向上支援などを実施していく予定です。

児童保護ポリシー策定会議に参加する子どもクラブメンバー

地域の声

一緒に児童労働をなくしていきましょう

マニラ・ビスタさん
マナハリ村副村長

CWINは事業が始まる前から事業内容について十分な説明をし、事業開始後もいつも私たちと一緒に取り組もうとしてくれていることを大変嬉しく思います。私たちも児童労働をなくしたいと願っています。その基礎となる児童保護ポリシーや、モニタリングの指針などの策定を支援してくれることを心強く思います。それは村役場だけでなく、村のお母さんお父さん、子どもも同じ思いです。


報告/アシスタントプログラムマネージャー
シルヴァ・バイディヤ

活動概要

ネパールの地方部における児童労働削減支援」児童労働の送り出し地域であるマクワンプール郡の児童労働、そして郡から働きに出る子どもを減らすことを目標とした3年間の事業。2021年5月開始。ネパール政府の児童保護政策や行動計画に沿って村の児童保護機能を強化する。NGO連携無償資金協力支援事業。

会報「南の風」295号掲載(2022年3月発行)