「バングラデシュの取り残された子どもたちへの初等教育支援」の事業地を職員の髙階が訪問しました。今回は事業地のひとつ、「川の中洲」地域のようすをお伝えします。

バングラデシュを流れる大河、メグナ川の中洲

首都のダッカから北西に位置するノルシンディ県。ここに「バングラデシュの取り残された子どもたちへの初等教育支援」の事業地、川の中洲(チョール)の地域があります。ここでは「中洲」と言っても、日本の急峻な河川の砂利でできた中洲とは異なり、バングラデシュ3大河川のひとつであるメグナ川の真ん中に、島のように広大な土地が広がっています。この地域には複数のチョールが点在しているため、移動にはボートが必須。それぞれが離島のような状況になっています。

この地域の大きな課題のひとつが、交通インフラの悪さに伴う本土との隔絶です。学校環境ひとつをとっても、①必要な人数の先生を行政が派遣していない、②派遣された先生も数年の任期が終わる前に本土への移動を希望してしまう、③行政の担当者がほとんど訪問してこないため学校の状況をきちんと把握できていない、といった問題が実際に発生しています。

学校教育の補助として、ラーニング・スポットを運営。
家の軒先で算数や国語を学ぶ子どもたち

またバングラデシュでは学校に子どもを入学させるためには、その子の出生届を行政に提出してあることが前提条件になります。学校の補助的な授業を行うラーニング・スポットに現在通っている子どもたち30人のうち、活動開始時には半分の15人しか出生届を出しておらず、残り15人は学校にすぐに通うことができない状況にありました。活動の中でその子どもたちの親と面談を重ね、出生届を提出するための手助けを行うことで、学校に通うことができていなかった15人のうち現在は12人が就学、残り3人も次の年度から学校に通うことができるようになっています。

ラーニング・スポットの運営や保護者への働きかけなど、
地域での活動には地元出身の若者たちが関与してくれている

親自身も学校に通ったことがなかったり、中退してしまった人が多いため、学校で教育を受けることの意義を感じたり、出生届をはじめとした必要手続きをきちんと踏むことが難しい家庭もあります。根気よく地域の家庭一軒ずつに働きかけていくことで、子どもたちが学校に通うことができる環境を整えています。時間がかかり成果はすぐに見えづらい活動ですが、教育への意識が少しずつ変わることで次の世代へも繋がっていく活動であると思います。

コミュニケーショングループ
髙階悠輔