2月初旬から、バングラデシュの2地域で行っている、取り残された子どもたちへの初等教育支援活動(https://www.shaplaneer.org/support/primary_education/)の事業評価のため、バングラデシュへ来ています。

最初に行ったのは、メグナ川という大きな川の中州(チョールと呼ばれます)です。貧しい世帯が多く、経済的な余裕がないこともあり、子どもの教育に対する大人たちの関心がとても低い状態でした。そのため、全国平均に比べても、就学率、中途退学や留年の割合が多くなっていました。

チョールの移動は船が頼り。30分~1時間かけて船で移動します。評価チームのメンバー。

私たちのプロジェクトでは、子どもたちが当たり前に学校に通い、楽しく勉強できる環境をつくることを目的に、様々な活動を行っています。その中心となっているのが、ラーニング・スポット(補修教室)の運営です。エデュケーション・ファシリテーターと呼ばれる有償ボランティアが、毎朝子どもたちが集まる補修教室で宿題の面倒をみたり、勉強を教えたりしています。また、地域の中で学校へ行かずに働いていたりぶらぶらしている子どもたちがいると、学校へ行くよう声をかけたり家庭訪問して親と子どもの教育について話をします。

ボンナ・アクタールさんは、プロジェクト開始当初からエデュケーション・ファシリテーターとして活動しています。それまで私立の学校で先生をしていましたが、私たちのプロジェクトが始まることを知り、「こんなやりがいのある仕事がしてみたい」と考え、手を上げてくれました。元々、高等教育を受けた人が少ないこの地域で、ボンナさんのように大学を出ている人材はとても貴重です。

中央がボンナさん(左が小松)

「私が担当している村で、学校に行っていなかった子どもたち18人が学校に通うようになりました。今はこの村で学校に行っていない子どもはいません。ラーニング・スポットに2‐3日来ない子がいると、やさしく声をかけながら関係づくりをして、学校で勉強することの大切さについて話すようにしています」と話してくれました。難しいことはある?と尋ねたところ、「子どもたちや親などの考え方を変えるのは簡単ではなく、時間がかかります。でも、ラーニング・スポットができて、学ぶ場所や環境を整えることで、人々の意識が少しずつ変わってきています」と話してくれました。隣の中州から通っているボンナさん。乗り合いの船に乗って通うのは正直大変だと言います。自分自身の変化について尋ねると、「我慢強くなりました」と笑って答えてくれました。

事務局長 小松豊明