シャプラニール=市民による海外協力の会 事業推進部 多文化共生事業では、これまで多くの関係団体のご協力をいただきながら、多文化共生に向けたさまざまな活動を行ってきました。 
主な取り組みとして、以下の活動を実施しています。 

  • 外国ルーツの方と日本人が出会い、交流しながら相互理解を深める居場所、多文化共生コミュニティスペース「マザリナ」 
  • 市民を含むボランティアの参加・活動の促進 
  • れもんハウス(運営:一般社団法人青草の原)との協働による、こどもまんなかサロン「マザリナれもん」 
  • ネパール人子育て世帯を対象とした出張相談・おしゃべり会「チョウタリ」 

こうした活動を通して、セクターを越えたつながりを生み出し、支援のネットワークづくりを進めてきました。 そして今回、さらなる連携・協働を進めていくことを目的に、3月6日「しんじゅく多文化共生つながり会議」を大久保地域センターにて開催しました。 

今年度のつながり会議のテーマは、「外国ルーツの女性の生活課題」です。 
外国ルーツの母子の居場所づくりや、保健・教育・家庭内の問題など、困りごとがあった際に相談できる場所について、4名の登壇者からそれぞれの活動内容や、これまで受けてきた相談事例を共有していただきました。

登壇者は、
櫻本まり子さん(新宿区多文化共生推進課長)
サッキャミナさん(CINGA国際活動市民中心)
宮原麻季(シャプラニールチョウタリ活動担当)
吉野智子さん(地域支援子育て支援センター二葉センター長)の4名、
ファシリテーターはシャプラニール事務局長の藤岡が務めました。 

地域支援子育て支援センター二葉の吉野さんからは、親子が集まり、一緒に子育てができる「ひろば」の運営について紹介され、孤立しがちな外国籍の家族にも利用してもらえるよう取り組んでおり、保健センターから届く相談をきっかけに、外国籍の子育て世帯と地域のボランティアをつなぐ「Come together」という取り組みを行っています。
外国籍の妊婦への周知についても、相談が集まる保健センターと連携して進めていることが共有されました。

CINGAのミナさんからは、ネパール家庭から寄せられる相談の事例をもとに、見えてきた課題について紹介がありました。日本に住むネパール人家庭では、言語や子育て環境から女性が孤立しやすく、来日後の家族内のパワーバランスの変化や配偶者のアルコール依存症などに悩んでいても相談先が限られている場合が多いとのことでした。
また、ネパールコミュニティに相談できることもあれば、同じコミュニティには相談しづらい問題を抱えている家庭もあるということでした。さらに、在留資格(ビザ)の違いによって困りごとの内容が異なることや、子ども自身から寄せられる相談もあるなど、支援のニーズが多様であることについても共有がありました。

今回の会議は、新宿区多文化共生推進課の後援を受けて実施しました。新宿区多文化推進課長の櫻本さんからは、外国人住民が5万人を超え、133の国・地域出身の外国人が住民の14.5%を占めている多様な人々が暮らす新宿区では、歌舞伎町にある多文化共生プラザにおいて、外国人住民に対する情報提供や相談業務を行っていることについても共有されました。また今後、日本の労働を支えてきた外国人が高齢化する中で、配偶者を亡くして社会的孤立が進み、認知症などの課題が生じ、支援の必要性が高まる可能性についても指摘されました。

宮原さんからはシャプラニールの活動である、 おしゃべり会「チョウタリ」の報告がありました。
▽チョウタリ活動報告はこちら▽

第3回チョウタリ実施報告

外国ルーツの女性たちが日々直面している課題は、言語や制度の壁、孤立など、さまざまな要因が複雑に重なっています。
今回の会議では、そうした現状を共有しながら、支援のあり方について考える機会となりました。

教育・子育て支援など多様な分野から参加 

昨年度実施した「しんじゅく多文化共生つながり会議『外国籍の子どものケア』」でも幅広い分野の方々にご参加いただきましたが、今回も教育関係者や子ども・子育て支援に関わる団体など、12名の方々が集まりました。 
会議では参加者が3つのグループに分かれ、それぞれの活動内容や、自分たちにできる支援について意見交換を行いました。 

外国ルーツの方々の生活の力になりたいという思いを持つ参加者と登壇者が、それぞれの立場から話し合いを行い、互いの取り組みを知る中で新たなつながりが生まれる場となりました。 

支援者同士がつながることの大切さ 

多文化共生の活動を進める中では、教育、保健、制度、就労、在留資格など、さまざまな課題に直面します。 
そのような場面では、「自分たちだけでは解決できない」「どこにつなげればよいのか分からない」と悩むことも少なくありません。 
今回の会議では、そうした悩みや課題を率直に共有しながら、支援に関わる人同士が顔の見える関係を築く機会となりました。 

話し合いの中では、日本語学校の学生が子ども支援センターに関わる可能性など、新しいアイデアも生まれました。また、会議終了後には参加者同士がそのまま活動の現場を訪れる姿も見られ、具体的な連携の芽が生まれている様子がうかがえました。 

参加者の方々からは以下のような感想をいただきました。
「女性や母子支援について、具体的な事例を通して理解が深まり、繊細な問題をはらむ相談や複合的な課題の解決のためには、関係団体や自治体など、分野を越えた横の連携が改めて重要だと感じました」
「地域でがんばっておられる方々の活動を知ることができ、人脈を広げることもできました。参加してよかったです」
「スポーツやアートなど新たな分野の方にも関心を持っていただくことで、より多面的な取り組みが可能になると感じました」  

つながりをこれからの支援へ 

今回のしんじゅく多文化共生つながり会議では、それぞれの活動分野や立場を越えて課題を共有し、つながりの重要性を再認識する機会となりました。

外国ルーツの方々が地域の中で安心して暮らしていくためには、一つの団体だけでなく、多様な分野の人々がつながり、それぞれの強みを生かして支え合うことが欠かせません。 
今回の会議で生まれたつながりを大切にしながら、これからも多様なセクターとの協働を通じて、多文化共生の地域づくりにつなげていきたいと思います。

(2025年度しんじゅく多文化共生つながり会議は、新宿区多文化共生推進課の後援を受けて実施、本事業は令和7年度 独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業の助成を受けて実施しています。 )

事業推進部 東