シャプラニールはネパールの児童労働削減事業を推進する中で、子どもを守る立場である周囲の大人への意識変革を重要視しています。
その活動の一環として、学校で多くの時間を子どもと過ごし、指導する立場である教師や保健師に対して、SEL(Social and Emotional Learning)研修を2日間にわたり行いました。事業地であるヘタウダ市やマナハリ村のコミュニティスクールから53名が参加しました。
SEL(Social and Emotional Learning) とは?
SELとは子どもが自分の感情を理解し、コントロールができるようになることで、他者の気持ちに共感し良好な人間関係を築き、責任ある選択をする力を高めることを目的とした学習フレームワークのことです。自分の気持ちや他者の気持ちといった「非認知」への理解を促し、人間関係構築に役立てるため、近年関心が高まっている心の知能指数(EQ)を高める考え方のひとつです。
児童労働に陥る子どもの中には、学校を中退している子どもが多く、実際2021年にシャプラニールがマナハリ村で行った調査では児童労働に従事している子どものうち90.6%が学校を中退しているというデータも出ています。
学校を中退する理由は様々ですが、貧困や教育制度の問題のほか、複雑な家庭環境や進級へのハードルなどが理由になっていることもわかってきました。多感な時期の子どもに対し、感情をうまく取り扱えるように指導することは、教師や保健師の重要な役割です。
参加者から好評だった研修

今回の研修の中では以下のような内容をさまざまなアクティビティを通じて学びました。
- SELの基本概念: 感情とは何か、人間関係構築に必要なのは何か
- メンタルヘルス 不安との付き合い方、メンタルヘルスの保ち方
- ストレス管理: ストレスの種類を特定し、コントロール方法を実践
- 薬物乱用防止: 薬物やアルコールの影響を理解するためのロールプレイ
- 対人スキル: 積極的な傾聴や共感の仕方
- グループワーク: チームワークを通じた問題解決

グループワークやロールプレイを通じ双方向のやり取りが重視され、意見交換の時間も多くありました。多くの参加者から、この研修での学びはたくさんあり、今後の学校運営に与える大きな影響を感じたという声も。大変好評で、引き続き同様のプログラムの実施が期待されています。
ネパール事業担当 日比愛子