新型コロナウイルス感染症拡大は全世界で広がっています。残念なことに日本でも750名を超える方々が亡くなり、シャプラニールの活動地であるバングラデシュ、ネパールも例外ではありません。感染状況は拡大しており、事態は深刻です。

バングラデシュでは、感染者数が25,000名を超え、死者数も340名(2020年5月20日時点)に上っており、感染が現在拡大しています。ネパールの感染者数はバングラデシュほどの広がりはなく約425名(2020年5月21日時点)と、抑えられている傾向にはありますが、徹底したロックダウンが経済の停滞を生み、社会不安が広まりつつあります。

3月から両国ともに外出禁止措置(ロックダウン)が布かれ、現在も継続されています。市民は感染への恐れを抱く一方で、経済がストップした状態であるために、特に日雇い労働など収入が不安定な職についていた人々は、日々の生活を送るのも困難な状況が発生しています。

カトマンズの路上に暮らすストリートチルドレン。小さなときから路上で暮らしてきました。その日その日を必死で生き延びてきましたが、外出禁止令がでて、日雇いの仕事をもらうこともできず、飢えに直面しています。

市民証や住所を持たない人、障害のある人、先住民の子どもたち、そのようなコロナ禍が始まる前から社会から取り残されていた人々が、現在、更に厳しい事態に直面しています。また、バングラデシュでは、過去数十年で最大規模といわれている大型サイクロン・アンファンがバングラデシュを直撃し、各地で甚大な被害が出ており、新型コロナウイルス感染が拡大する中、他者との距離を取る制限がより救助活動を難しくしていると現地メディアが伝えています。

シャプラニールはこうした状況を受け、以下の通り、バングラデシュ、ネパールで緊急救援活動の実施を予定しています。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。


今後の実施予定の活動

◆バングラデシュ

活動パートナー団体であるJJS、Phulki、PAPRI、GBKの4団体を通じて498世帯への食糧配布、現金給付、340名への学用品提供支援を実施します。

貧困地域に住む人々へ向けての現金給付(JJS)
バングラデシュ南西部バゲルハット県のなかなか支援の届きにくい遠隔地に住む世帯への支援を行います。支援対象者は日雇い労働で収入を確保する人が多く、ロックダウンにより収入が激減しています。117世帯を対象に現金給付支援を実施します。

スラムに住む家事使人として働く少女の世帯に向けた食糧配布支援(Phulki)
シャプラニールは家事使用人として働く少女たちを支援するセンターを運営しています。この支援センターに通う少女たちの一部はスラムで保護者と一緒に生活をしています。コロナ禍により保護者の収入が途絶えたり、激減してしまったケースが少なくありません。このようなダッカ市内のスラムに住む101世帯へ食料配布支援を実施します。

最貧困層へ向けた食糧支援(PAPRI)
ノルシンディ県の280世帯の最貧困層への食糧配布を実施します。対象となるのは、障がいを抱える人々の世帯や最貧困層世帯に対して行います。行政からの支援が一部あるものの、家族が多いなどの理由で支援が十分でない状態が発生しています。

先住民の子どもへ向けた学用品提供(GBK)
シャプラニールは先住民の子どもたちの就学支援をずっと続けてきました。先住民の世帯は貧困層が多く、日雇いで働く保護者がなかなか仕事を見つけづらくなってきています。今このような世帯に必要なのは食料支援と、子どもたちを学校に通いつづけさせるための保護者の理解です。シャプラニールは子供たちが学校に通い続けられるために、340名の子どもたちへ学用品提供の支援を実施します。

 

◆ネパール

パートナー団体のCWINを通じて240世帯への食糧配布支援を実施します。

行政の支援対象者からもれてしまった世帯への食糧配布
ストリートチルドレンや地方部から都市部へ流入してきている貧困層など、さまざまな理由から他の市民と同じようには支援を受けられない人々が取り残されています。

行政の支援が受けられなかった人々の家。2015年の震災後に地方から都市に流入してきたケースが多い。

行政の支援が受けられなかった人々の家。2015年の震災後に地方から都市に流入してきたケースが多い。


(2020年8月1日更新)
予定していた緊急救援活動が概ね実施の目途が立ちましたため、緊急救援募金の募集を終了いたします。ご支援いただいた皆さま、誠にありがとうございました。また活動を実施する際には、再度募集をさせていただきます。なお、各地での活動の完了報告は随時、収支報告は後日改めて、公式サイトにて掲載いたします。

緊急救援活動の報告はこちら


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