スタッフの想い

東京事務所・バングラデシュ事務所・ネパール事務所では約40名の職員が働いています。
国際協力NGOの職員が今、考えていることを語ります。


シャプラニールのなんでも屋

総務・会計チーフ
杉山和明(すぎやま・かずあき)

働くきっかけ

2002年1月5日に、私はシャプラニールに入職しました。それまでは金融関係の仕事に就いていましたが、思うところがありそこを退職した後は、しばらくの間会計の勉強をしていました。収入もなく貯金を取り崩す生活だったのでそろそろ再就職をと考え、近くのハローワークで経理の職を探していたところ、「シャプラニール=市民による海外協力の会」を見つけました。

学生時代も含め、海外協力やNGOとは無縁の生活を送ってきた私にとっては、これまでに経験したことのなかった世界が見られるのではと思い早速応募しました。面接のため事務所を訪れると、職員に交じりボランティアの方々が発送物の封入作業をしており、今思うとそれは普段の事務所風景なのですが、その時は新鮮な印象を受けたことを覚えています。

2004年実施の「シャプラニールのつどい」では受付係でした

総務・会計という仕事

入職後3カ月の引継ぎの後、総務・会計の業務を一人で担当することとなりました。全従業員が20名程度(現地スタッフを除く)の組織で、一般的には零細企業の範疇に入る規模ですが、それでも総務・会計の業務は多岐に亘り、蛍光灯の交換から決算・税務申告、所轄庁への報告等、幅広い業務があります。会計業務の他は初めてのものばかりで、参考図書を片手に一から仕事を覚えていきました。

また数年前より業務システム、ITネットワーク管理も担当し業務の範囲も広がっています。前職は組織規模も大きく、業務は細分化され、その歯車としての窮屈さを感じていましたが、シャプラニールのような組織規模だとさまざまな業務の実務経験を積むことができ、その成果が分かりやすいことはやりがいを感じるところです。

バングラデシュ、ネパールの現地事務所で

入職2年目からは現地事務所の会計監査も行うようになりました。現地では毎年監査法人による外部監査を実施し、日本の会計担当者が行う数日程度の監査にさほど実効性はないのですが、本部もちゃんと見ていますよというアピールと内部統制状況を定期的に確認するという意味合いがあります。

これまで私が見た限りでは、両事務所ともしっかりとした内部統制システムにより運用されており、むしろ東京事務所が見習わなければという点も多々見受けられます。ただし運用を怠ると内部統制も機能不全に陥り、不正を誘発してしまうことは、数年前にネパール事務所で起こった横領事件がその証左と言えます。よって監査にあたっては、ほんの些細なものまで敢えて指摘するよう心がけています。とはいえ、人のやること、ケアレスミスを指摘され戸惑う現地の会計担当者に「日付が抜けている……そういうこともありますよね。分かりますよ、私も同業者ですから」と心の中で語りかけています。

これから

COVID –19がようやく終息に向かいつつある昨今ですが、この影響で日本の職場環境も大きく変わり、リモートワーク、押印不要といったものも根付いた感があります。シャプラニールでもこの間の経験をもとに恒常的な制度として、在宅勤務制度を存続させるなど時代に即した働きやすい職場環境を模索しています。

また2023年度は消費税のインボイス制度、改正電子帳簿保存法など新たな変化に柔軟に対応していかなければなりません。総務・会計という業務は、定款に掲げる「すべての人々がもつ豊かな可能性が開花する社会の実現」という理念に直接結びつく業務ではありませんが、その実現を目指すシャプラニールの活動を生み出す母体である組織には不可欠のものです。今後とも微力ながらこの大事な裏方業に精進したいと思っています。


PROFILE

杉山 和明
民間企業での勤務を経て2002年シャプラニール入職。入職以来、総務・会計業務に従事。趣味は読書、釣り、昼寝。

会報「南の風」300号掲載(2023年6月発行)