シャプラニールは現地のNGOとパートナーシップを組んで事業を実施しています。そのなかで、長く一緒に事業に取り組みながら互いに学びあい、協働する団体もあります。そんなパートナー団体から50周年に寄せて、シャプラニールとのあゆみを振り返ってメッセージをいただきました。


パートナー団体:JJS(ジェイ・ジェイ・エス/Jagrata Juba Shangha

シャプラニールとのパートナーシップを振り返って

シャプラニールとのパートナーシップの始まりは、2007年サイクロン・シドルの直後に、被害の大きかったバゲルハット県ショロンコラ郡を一緒に訪問したことでした。被災したショロンコラ郡は、ほとんどの家が壊れ、食べ物や飲み水が全くない状態だったため、まず緊急救援を開始しました。私たちは道もないようなところを歩いて支援活動を行い、夜は遅くまで今後のことについて議論しました。議論を重ねるなかで、川と海の影響が常にあるこの地域では、災害後の対処だけではなく災害リスクを減らす活動が必要だと認識し、緊急救援後の事業計画を策定していきました。このように、私たちは常に議論をして活動するスタイルは今も続いています。

合同の評価作業の様子

私たちは、常に一緒に働き一緒に議論をする、本当の意味でのパートナーシップを築いていると思っています。私たちは、共感し尊敬しあっていることがまず土台にあります。開発事業の専門性だけではなく、ボランティア精神という価値を両者が持っているからこそ、強い関係で一緒に仕事ができていると思っています。これはどのパートナー団体、ドナーとも違います。例えば、事業評価作業においては、受益者だけではなく、すべてのステークホルダー(利害関係者)とともに「参加型」で行います。評価において特に印象的だったことがありました。ある時、財政が厳しいために予算を減らす必要があるという話をしていたのに、事業評価を実施して見えてきた課題から、必要かつ効果的な活動を行うためには予算を増やしてでも活動を継続すべきだという結論になったことがありました。現場で見た事実をきちんと捉えたうえで、必要な支援を行うという姿勢が表れていると思います。

少女グループの防災活動ミーティングの様子

最後になりましたが、50周年を迎えるすべてのシャプラニール関係者に、「おめでとう」の気持ちを贈ります。シャプラニールのアプローチ方法や事業スタイルは、ほかのNGOにも良い学びとなり、影響を与えられると思っています。より社会的インパクトを残せるよう事業規模を大きくし、より貧しい人々に必要な支援を届けることができる影響力のある団体になることを期待しています。

会報「南の風」297号掲載(2022年9月発行)