スタッフの想い

シャプラニールには、東京事務所、バングラデシュ事務所、ネパール事務所で
約およそ40名の職員が働いています。国際協力NGOの職員が今、考えていることを語ります。


「市民として考え続ける」

国内活動グループチーフ
京井杏奈

市民による海外協力

学生時代、バックパッカーでインドを訪れたとき、道端で物乞いをする足の不自由なおじいちさんや小さな赤ん坊を抱えお母さんたちの状況を目の当たりにし、私は今何をするべきかと自問したことを覚えています。この現実を知ってしまった以上、自らの目で見てしまった以上、少なくとも私にはこの現実を自分の周りの人々に伝える責任があるのではないだろうかそんなことをモヤモヤと考えたことを思い出します。

その後、企業での勤務を経てシャプラニールに入職し、国内活動グループの職員となりましたバングラデシュやネパール、シャプラニールのことをより多くの人に伝え、その架け橋となり、行動する市民を増やすこと、市民と共により良い社会を作っていくことが私たちの役割だと思っています。 

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ストリートチルドレンが通うドロップインセンターにて

シャプラニールの活動は会員、マンスリーサポーター、寄付者、ボランティアなどさまざまな市民によって支えられています。小さな子どもからシニアまで、たくさんの人が日本国内にいながら、海外の課題に目を向け、自分にできるアクションを起こしてくださっていることに日々、”市民の力”を感じています。 

「海外協力=現地での活動」とイメージする方も多いと思いますが、シャプラニールは「日本も海外協力の現場」として捉えています。バングラデシュやネパールの人々だけでなく、日本にいる市民一人ひとりがさまざまな課題を自分ごととして捉え、「自分とは関係ない」ではなく「もしかしたら自分の生活につながっているかもしれない」「もしかしたら自分もその状態になりうるかもしれない」と、関心を持ち、想像力を働かせることが大事だと考えています。そのようなきっかけ作りを、そして行動の受け皿をこれからもつくっていきたいと思っています。 

互いが学び合い、エンパワメントされる関係

シャプラニールの理念には「すべての人々がもつ豊かな可能性が開花する社会の実現」がうたわれています。「すべての人々」には支援者をはじめとする日本にいる人々も含まれています。支援活動を通じて、自分たちが本来持っている力に気が付き、自信を取り戻すバングラデシュやネパールの人々、夢を描けるようになった子どもたちなどと同じように、日本にいる市民一人ひとりも、シャプラニールの活動に関わることで学びや気づきを得たり、自身の可能性を見出したりすることにつながるような存在でありたいと思っています。 

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家事使用人として働く少女たちが通う支援センターを訪れて

中学生・高校生スタディツアーでバングラデシュから帰ってきて「ちょっと自由になった気がする」「もうどこでも生きていける」と話した参加者や、「自分の居場所が見つかった」「誰かの役に立てることがうれしい」と話すボランティアの方々、「社会課題に目を向けることを忘れないために寄付している」と話すマンスリーサポーターの方などの言葉にあるように、豊かな人が貧しい人に手を差し伸べるという一方的な関係性ではなく、お互いが学び合い、エンパワメントされる関係をこれからも築いていきたいと思います。 

支えてくださる方々と共に 

グローバル化に伴い世界とのつながりがますます強まっている中、自らの生活や社会のあり方を見つめ直し、自分にできることを考え行動することが今、私たちに求められていることだと感じています。海外協力という枠を超えて、私たちが抱える子ども、災害、コミュニティ、地域など、生活におけるあらゆる社会課題に対して団体として関心を持ち、支えてくださる皆さまと共に考えていく団体であり続けたいと思っています。 

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PROFILE  

京井杏奈

大学卒業後、民間企業での勤務を経て、2008年にシャプラニール入職。支援者サービスやファンドレイジングの業務を経て、現在は国内活動グループを統括。プライベートでは、3歳と6歳の2児の母。

会報「南の風」293号掲載(2021年9月発行)
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