「子ども支援を行う活動家に聞きました」荻上チキさんインタビュー CHAPTER.3 子どもが自分らしく生きられるように

荻上チキさんインタビュー

社会論やメディア論など評論家、ラジオパーソナリティ、ときには書籍執筆など多方面で活動している荻上さん。一方、「いじめ問題」に取り組むNPO法人「ストップいじめ!ナビ」の代表理事も務め、いじめに悩む子どものための情報発信に力を入れている。今回は、荻上さんの子どもたちの命や尊厳を守る活動、なぜいじめが起きるのか、私たちの生活に潜むストレスとの付き合い方など、統計データやご自身の経験を基にお話しいただきました。
PROFILE

荻上チキ(おぎうえ・ちき)
特定非営利活動法人「ストップいじめ!ナビ」代表理事、評論家、ラジオパーソナリティ。ラジオ番組「荻上チキ・Session-22」(TBSラジオ)では、2015年度、2016年度とギャラクシー賞を受賞(DJパーソナリティ賞およびラジオ部門大賞)。

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【CHAPTER.1】社会問題の解決に向けて
【CHAPTER.2】『子どもの権利』を守るためのアクション
【CHAPTER.3】子どもが自分らしく生きられるように

 

CHAPTER.3 子どもが自分らしく生きられるように

「問題提起と代案提示」が大人の役割

 すべての人に基本的人権があるように、子どもにも子どもならではの権利があると考えています。子どもを一人の人間と接しなかったり、意思決定の主体ではないと扱ったりする人が多いですよね。大人は子ども達が主体的に行動できるように介助補助を、適切なメニューを提示することが重要です。頭ごなしに「いじめるな!」と言うのではなくて、「いじめというものは、こういった様な理由が良くないからこういったアプローチをしてはどうか」と問題提起と代案提示を行いながら話すことが大切です。

私達のNPOは、特に子どもの教育現場へは、過去の論文とか過去の事例をみていて、これは上手くいかなそうだからアプローチを変えてみましょうよ、と提案しています。他の事例だとどうなのか、他の人ならどうしているのか、より根拠のあるものは何なのかと探求する感覚を持つことも重要だと思っています。過去の知見の積み重ねから、私達はより良い手段を探っています。

 

理不尽は改善できる!

 いじめを受けると「どうせ何をやってもいじめは変わらない」という価値観に陥ってしまいがちですが、人為的につくられたいじめは、人為的になくすことができるんです。「いじめをゼロにする!」ことに対して「なくすのは無理でしょ」と異論をとなえる人もいますが、「いじめはどうやって増やすことができますか」と聞くと、いろんなアイデアが出てくる。それを逆転して、発生しないようにしていけば、いじめは抑制できます。また冷笑主義の傾向が高まると、ストレスを甘んじて受け入れないといけないという感覚にも陥り、非常に生きづらくなってしまう。認知行動療法でいくと、コーピング手段を身に付ける機会さえ奪われてしまうことになるので、ストレスも理不尽も改善できるものだから、それを一緒に改善していこうということを伝えたいですね。

 

子どもたちへ「一緒に改善できるプレーヤーになりましょう」

まず、理不尽は変えられるので、適応と成長を間違えないで欲しいです。ストレス環境に耐えることが成長と思うのは、明らかな違法的な労働の中でノルマを達成して喜んでいるような状況なので、もしかしたら会社をつぶしたり、転職したり、改善したりすることが必要なのかもしれない。そうした理不尽ということには改善可能だ、と思って欲しいですね。最後に、理不尽を改善しようとしている人の足を引っ張るっていうことがさもしいこと、という感覚を持ちつつ、むしろ自分がその改善をするプレーヤーになれる感覚を持つ人になって欲しいなと思っています。

 

不合理な学校のルールをきっかけに有志で「ブラック校則をなくそう!プロジェクト」を立ち上げた荻上さん。講演の様子。

不合理な学校のルールをきっかけに有志で「ブラック校則をなくそう!プロジェクト」を立ち上げた荻上さん。子どもたちを守るため一緒に戦う姿を見せてくれる。

 

【CHECK!】荻上さんのインタビューの内容に関連する主な子どもの権利条約
子どもの権利条約は、世界中の子どもたちを守るために、大きく4つの子どもの権利「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」を守ることを定めています。日本も1994年にこの条約を批准しました。

第2条 差別の禁止
すべての子どもは、みんな平等にこの条約にある権利をもっています。子どもは、国のちがいや、男か女か、どのようなことばを使うか、どんな宗教を信じているか、どんな意見をもっているか、心やからだに障がいがあるかないか、お金持ちであるかないか、親がどういう人であるか、などによって差別されません。
第31条 休み、遊ぶ権利
子どもは、休んだり、遊んだり、文化芸術活動に参加する権利をもっています 。
第39条 被害にあった子どもを守る
虐待、人間的でない扱い、戦争などの被害にあった子どもは、心やからだの傷をなおし、社会にもどれるように支援を受けることができます。

(参照:unicef 「子どもと先生の広場」子どもの権利条約 日本ユニセフ協会抄訳)

インフォメーション

<支援活動の情報>
・NPO法人ストップ!いじめナビ公式サイト https://stopijime.org/
・公式Twitterアカウント https://twitter.com/stopijimenavi

<関連サイト>
・子どものいじめから脱出するための情報発信サイト http://stopijime.jp/
・無料子ども電話相談「チャイルドライン」
子ども向け(18歳まで) https://childline.or.jp/
大人向け(支援したい・相談したい) https://childline.or.jp/supporter

<荻上さん著書>
『みらいめがね それでは息がつまるので』(暮しの手帖社)
『いじめを生む教室 子どもを守るために知っておきたいデータと知識』(PHP研究所)

<more information>
荻上さんの公式Twitter https://twitter.com/torakare

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編集後記

今回はオンラインでのインタビュー取材を行いました。飼い猫さんが画面を覗き込んだのをきっかけに、猫と暮らす人あるあるの話しながら和やかにスタートしました。NPO法人ストップいじめ!ナビの活動は、当事者だけではない、当事者を取り巻く環境やステークホルダーへのアプローチを行いながら、さまざまな業界のネットワークを通じて、社会全体の環境を変えることを大切にされていると感じました。このことはシャプラニールの活動と共通する点に多くに共感し、学びとなりました。

特に、ネパールの現地パートナーNGO・CWINが行う「チャイルド・ヘルプ・ライン」の活動は日本の「チャイルドライン」同様に、大人が親身になって相談に乗り、子どもたちのSOSを拾いあげています。現在コロナ禍で分断されてゆくと言われている社会の中で、こうしたサービスや信頼できる人間関係の構築はとても重要であり、大きな心の支えになるのだと改めて感じました。

私たちにも「いじめはなくす」ためにできることはたくさんあります。他者を尊重する姿勢を持ることで、尊厳を守ることができます。まずはこの社会問題を知ったことをきっかけとし、一人の人間として何ができるのか、ぜひ考えてみてください。荻上さん、大変貴重なお話ありがとうございました。
インタビュー&記事執筆 広報 長瀬


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