【講演会報告】今知りたい、バングラデシュ~ダッカ襲撃事件を受けて~

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事件から1週間が過ぎた今日7月9日、事件を受けてバングラデシュへの歪んだイメージが広がることを懸念して企画した、4名の専門家による講演会が終了しました。

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モンズルホックさんの言葉には熱がありました。

モンズルホックさんの言葉には熱がありました

最初にお話しいただいたモンズルホックさん(バングラデシュの全国紙プロトムアロー東京支局支局長)は、今回の事件がなぜ起こったのかという歴史をバングラデシュという国の誕生の時からさかのぼって話してくださいました。パキスタンからの独立戦争時代の流れが、イスラム原理主義グループとして時に表舞台に上がり、中東とつながりという変遷を経て今、地下に潜って活動するにいたっているということでした。また、犯人の遺体を家族が引き取っていないことが象徴的なように、多くのバングラデシュ人がテロに反対し、今回の事件を憎んでいるということを話されました。

 

シャプラニールに長く関わる日下部氏

シャプラニールに長く関わる日下部さん

日下部さん(シャプラニール理事、東京外国語大学特任講師)は、近年の政治的動きが今回の事件にどうつながったかをわかりやすく話してくださいました。現政権が自分たちで作った選挙制度による選挙を、イスラム教を重んじる政党がボイコットしたことにより、彼らが表舞台で自分たちの主張を述べる場がなくなったことが、地下に潜る流れにつながったのだろうとのこと。また、ブロガーや外国人を狙った事件が昨年秋から始まり、シャプラニール駐在員が安全対策をより強化して活動してきたことも紹介されました。

 

アザド・ムンシ先生

バングラデシュ人としての思いを語るムンシ・アザド先生

長年にわたり青年海外協力隊員など日本人にベンガル語(バングラデシュの公用語)を教えてきたムンシ・アザドさんは、これまでベンガル語を話してバングラデシュの人々と関係を深めてきた協力隊や日本のNGO、企業によって、バングラデシュ人は日本が好きであるし、今回の事件をみな憎んでいるということをわかってほしい、両国の関係が変わらないことを願うと話されました。また、自分が小さかったころ、周りにはいろいろな宗教の人がいて、今思うととても平和だったとも。

 

 

長い経験、広い視点から分かりやすく、しかし力強く話される大橋さん

長い経験、広い視点から分かりやすく、しかし力強く話される大橋さん

大橋さん(シャプラニール元代表理事・現評議員、聖心女子大学教授)は、日本とバングラデシュの関係、バングラデシュやイスラム過激派から日本がどう見られるようになってきたかの変遷を伝えることで、今回の事件に迫りました。また、国内外の「不正義(私たちが考える正義、不正義ではない)」が小さなささくれとなり、その一部のささくれが突然大きな傷となり行動へとつながるのではないか、自分ではなく相手にどのような不正義、不公平が存在するかを理解し、可能な範囲で行動することが大切ではないかとも訴えました。

 

 

専門家それぞれで2時間の講演会ができそうな面々にそろっていただきながら、おひとり10分ほどの持ち時間しかありませんでしたが、質疑応答を含め、今皆さんが聞きたい、または不安になっていることへのいくつかの捉え方、考え方を示していただくことができたかと思います。それは、唯一無二の正解ではなかったかもしれません。講演会前にも講演者の皆さんと話しましたが、今回の事件のとらえ方に統一した見解を出すということが目的ではない、それぞれの意見がある、それを伝えようと決めていました。

バングラデシュへの歪んだイメージを持ってほしくない、として実施した企画でした。しかし、おそらく、あの場に集まった60名のみなさん、また自分も、これまで持っていたバングラデシュのイメージ、親切で熱くて優しい人々、豊かな自然からかけ離れた凄惨な事件に遭遇し、そのギャップに驚き、悲しみ、戸惑い、少しでも理解の手がかりがほしかったのではないかと、皆さんの話を聞きながら感じました。バングラデシュに限らず、他者を理解するのは難しいことです。それでもあきらめず、向き合っていきたいと改めて思いました。

海外活動グループ 勝井

※シャプラニールでは今後もバングラデシュを正しく理解するための企画を開催します。決定次第ウェブサイト等でお知らせいたします。

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