次年度計画についてスタッフと話し合って、気がつくと7時を過ぎていた。続きは来週にすることにして、家路を急いだ。というのも、8時を過ぎるとネパールの首都カトマンズと言えども人はおろか車通りも少なくなり、帰宅が難しくなるからだ。

上手い具合にテンプー(乗り合い小型バス)がつかまったので、家の近くのロータリーまで乗った。そこから商店街を歩いて帰り、右に折れるところに差し掛かった。ここは日中野菜売りの女性たちが多く出ているところなのだが、その手前に小さな女の子が膝を折ってチョコンと座っているのが見えた。前には今が旬の菜っ葉が4つほど並んでいる。

「サウニ(女店主)、何売っているの?」と呼びかけた。

彼女は応えない。見たところ6、7歳くらいの女の子。髪を2つに結わえ三つ編みにしている。

「これ、いくら?」

「2把で5ルピー(約8円)」

「ねえ、寒くないの?」

「・・・」

「売れたら帰るの?」

私たちの会話を耳にした通りすがりの男性が暖かく笑っている。家には菜っ葉茹でたのがあるんだけどなあ、と思いつつ、小さな女の子が暗い夜道に座っているのがいたたまれなく

「じゃあ2つ買うから、おいしいの見立ててよ」と頼んだ。

小さなサウニは威厳をもって(時間をかけて)手元にある4把をためすがめつして、2把を私のために選んでくれた。にこりともせず。そして私は5ルピーを払って家に戻った。いつまで小さなサウニはあそこに座っているのかな、と思いつつ。