P1010395.jpg予定より2日遅れて今日の夕刻、カトマンズに戻ってきた。(詳しくは次回以降のブログで)到着した翌日から6日間、一切乗り物は使えず毎日4-5時間山道を歩いて活動地を巡った。同行したスタッフは、私が山道を歩けるかどうか心配していたようだが、大学時代にバドミントンで鍛えた足腰にはまだ力が残っていたようで、不注意で1回転んだことを除けば特に問題もなく、むしろ楽しく歩けた。

<奥の細道を彷彿させるような山道>

今回の出張は、これまでシャプラニールがネパールNGOのCSDと共に実施してきたプロジェクトの現状を確認するというのが目的だったので、これまで支援をしてきた様々な住民グループとも会い話を聞いた。必ずしもすべてのグループの活動が順調に行っているわけではないが、これまで8年間かけて支援をしてきたことの成果は確実に出来ていると感じた。

P1010613.jpg例えばケトゥケVDC(行政村)のトゥロジュレという村で、ビジョエ貯蓄融資女性グループを訪問したときのこと。99年に結成されたこのグループ、40人だったメンバーは48人に増えた。

CSDから屋根用のトタン板は支援してもらったが、レンガや木材などはすべて自力で調達し、2ヶ月かけて自分たちの手で集会場(写真参照)を建設した。貯蓄融資だけでなく、病気になった人がいればメンバーが交代で家事を手伝いに行ったり、無利子でお金も貸し出しているという。また、最近になって、同じ村で活動する森林組合の協力を得て、メンバーへの識字教室も始めたという。

<ビジョエ貯蓄融資女性グループのメンバーと共に>

次の目標は何?と聞くと「電気を引いてきて製粉所をつくること。朝2時に起きてとうもろこしの粉を引くのはつらいもの」と答えた。それで浮いた時間はどうするの?と尋ねると、編み物などをして有効に使うわ!という元気な言葉が返ってきた。彼女たちはシャプラニールやCSDに支援して欲しいとは言わなかった。これまでに自分たちがやってきたことで自信が生まれた証拠なのだろう。

P1010432.jpg 訪れた村はほぼ例外なく電気、水道、ガスなどはない。かろうじてラジオが入り、場所によっては1本か2本電話があるという程度。外との交通手段は歩きのみというところばかり。

日が落ちれば、夕食を食べてあとは一つの灯りを囲んで家族団らん、夜9時過ぎには村全体が寝静まってしまう。朝5時過ぎにはかまどに火が入り、鶏やヤギの鳴き声とともに夜が明けるという、自然と調和した生活がある。

<水汲み用のカメを抱えて歩く女性>

物質的には豊かとはいえないし、薪を取って煮炊きをし、汲んできた水で食事やその他をまかなうというのは、特に女性たちにとって負担の大きい生活だろう。けれども、自分たちの手や目の届く範囲に生活があるというのは、反対に安心感も与えてくれるという気がした。

10日留守にしただけで、不要なメールを削除するのに1時間以上も費やさなくてはいけない自分の状況との落差に大きなため息が出てしまう。