バングラデシュでは使用人として働く子どもたちを対象とした活動が始まるが、ネパールにも使用人として働く子どもたちが多く存在する。今日はそんな子どもたちを対象に活動しているCWISH(Children – Women in Social Service and Human Rights)の2005年度調査報告を聞きに行ってきた。

調査対象となったのは415名、うち66.3%(275名)が女の子、33.7%(140名)が男の子。詳細な調査により、出身地や家族構成、家族の教育レベル、またどうしてカトマンズに来たのか、給料の金額、今後どうしたいかということが数字で示されている。全部をここで紹介することはできないが、特に気になったいくつかの項目について書いてみたいと思う。項目によっては100%にならないものがあることをご承知願いたい。

P6060116.jpg ・ 年齢:10歳以下(16.4%) 11~15歳(61.2%) 16~18歳(22.4%)

・ 民族構成:エスニックグループ*(76.39) チェトリ・ブラミン(22.7%)

・ 両親の有無:両親とも死亡(8.2%) 父親死亡(7.0%) 母親死亡(3.4%) 離婚(3.4%)

・ 子どもの識字率:42.7% ただしこのうち86%は現在学校に通っていない

・ 仕事の時間:8時間未満(50.6%) 8時間以上(36.1%)

・ 給料:500ルピー**以下(28.9%) 501~1,000ルピー(21.7%)

・病気や怪我の時 医者の治療を受ける7(31.2%) 市販薬を使用(42.1%)

“Children in Domestic Service in Kathmandu Valley Annual Status Report 2005” CWISHより

衝撃的な数字が並んでいる。アウトカースト、いわゆる「不浄」とされているグループの子どもたちが非常に少ないのは、ネパール社会の反映だろう。皿を洗う、食事を作るという生活に不可欠な仕事をさせるのに、浄不浄を気にしている雇い主の姿が浮かびあがる。一方、仕事や生活をしていて困ったときにサポートしてくれる人は誰かという質問に雇い主もしくはその家族と答えた子どもが32.7%であったという数字に少しだけ安心した。CWISHの説明では、子どもの権利に関する知識がある程度広まり理解のある雇い主が増えているのではないかということだった。

しかし、胸が痛むのは95%以上の子どもが、何らかの形で勉強を続けたいと言っていることだ。子どもとして当然であるはずの教育を受ける権利が与えられていないのは、どう考えても間違っていると思う。

私たちも2004年度から働く子どもたちを対象とした活動を始めている。レストランで働く子ども、使用人として働く子どももその中に含まれているが、使用人として働く子どもたちは家の中で働いているため、直接コンタクトをすることが非常に難しい。パートナーであるCAP-CRONは働く子どもが多く通う公立小学校に定期的に赴き、定期健診や保健衛生にかんする啓蒙活動などを行う他、家庭を個別に訪問して働く子どもたちにアクセスしようとしている。非常に地道な活動ではあるが、今回の調査報告を聞いて、改めてCAP-CRONと共に行っている活動の重要性を実感するとともに、社会全体の意識改革が必要であると感じた。CAP-CRONのスタッフもこの報告会に出席していたので、今後議論の素材として活用したいと思う。

*タマン、マガール、ライなどモンゴル系民族、ただし報告書中ではindigenous cast groupと表現されている。

**現在のレートで約850円。

2006年6月6日