ネパール政府は、SDG ターゲット8.7と同様に、2025年、つまり今年、すべての児童労働をなくすことを目標に取り組んできましたが、残念ながらその目標は達成できそうにありません。働く子どもの数は減ってきているものの、ゼロにはなっていません。
私たちが児童労働の削減に取り組んでいるマクワンプール郡においても、働く子どもの数は少なくなっていますが、やはりゼロにはなっていません。地方行政や労働局の職員、警察などが定期的に、働いている子どもがいないかどうか子どもが働いていそうな場所を訪問して確認する取り組みを続けていますが、毎回数名の働く子どもが見つかっています。
働いている子どもにも罪悪感はあるようで、雇い主に対して自分は18歳(だから働ける)と嘘を言って働いたり、働いていることが見つかると自分の年齢が分からないと言ってごまかしたりするケースが報告されています。
また、働く子どもの親や家族にも、子どもには学校に行ってほしいけれど、働いてくれたら生活が助かるという複雑な思いがあります。
活動を通じて、子どもは働かずに教育を受けた方がよさそうという意識は人びとの中に芽生えているように感じます。それでも子どもが働いてしまうという現実を、私たちはどうしたら変えていくことができるのでしょうか。

児童労働の背景にあるものは「貧困」と一言でまとめられるほど単純なものではなく、一人ひとり違います。それは私たちが1人ひとり違う人間であるということと同義であるように私には思えます。
子どもたち一人ひとりと向き合い、複雑なものを複雑なまま受け止めることの大切さを現場で学んでいます。
6月12日は児童労働反対世界デーです。すべての子どもたちが明るい未来を描けるよう、一歩ずつ活動を進めていきます。
ネパール事務所長 横田 好美