この季節、バングラデシュでは雷がよく落ちます。日本でもゴルフ場などで人が雷に打たれる事故がたまにありますが、平らな大地が広がるバングラデシュでは、畑や田んぼで農作業中の人や、屋根に上がっていた人の上に雷が落ちてしまうことが多々あります。

今朝新聞を見ていたら、昨日バングラデシュ南西部のシャトゥキラ県で、田んぼで農作業をしていた人たち13人が雷に打たれ、病院に運ばれたが全員重症、という記事が載っていました。

それを読んで思い出したのは先週昼休みにダッカ事務所のスタッフから聞いたちょっと不気味な話。

スタッフA 「農村部の田舎ではね、時々雷に打たれて亡くなった人の遺体が盗まれることがあるんだ」

私   「遺体が?! 何のために?」

スタッフA 「んー、よくわからないんだけどね、雷に打たれると人間の身体の何かが変化する、という迷信があるらしいんだ。とくに脳みそが。」

私「で、でもなんで盗むわけ?盗んでどうするわけ?」

スタッフA 「うーーん、それは僕にもわからないんだけど、盗まれるのは人間なんだ。牛とか山羊が雷に打たれてもべつに盗まれないみたい。」

私「(半信半疑で他のスタッフたちに)ほんとなの、それ?みんなそんな話聞いたことある?」

スタッフB 「ある」

スタッフC 「僕もある」

スタッフD 「私もある」

その場のスタッフ全員「でも盗んでどうするのかはわからない」

私   「うー。(ますます混乱)」

農村部では病気になった人が借金して多額の治療費を払ってでも地方都市の病院まで行く、というケースがかつてに比べてずっと増えている一方で、今でもいろいろな迷信があるようです。人々に話を聞くと、症状によって、こういう場合は病院、こういう場合はコビラージュ(祈祷師)と使い分けているらしく、その判断基準は話を聞いてもどうもよくわかりません。彼らにとっては明確なものがあるらしいのですが。

雷に打たれた人については、アッラーの怒りに触れたのだ、と忌み嫌われる場合もあるそうで、こっちはまだ理解可能。でも遺体が盗まれるっていうのは気持ちワルイ。雷に打たれるとどうなるっていうんだろう?

今度村人と話をするとき、そんな言い伝えがあるかどうか聞いてみましょう。笑われるかもしれないけど。ついでに日本では「雷様におへそをとられる」という話があることも教えてあけましょう。