1月21日に予定されていたバングラデシュの総選挙は、2日繰り延べられて今のところ23日の予定ですが、掛け声どおりの「公正で平和的な選挙」は本当にできるんだかどうだか。

抗議行動と選挙管理内閣の「新提案パッケージ」の応酬の末、先週は「ようやくトンネルの先に光が見えてきた」と新聞の見出しにも出て、「やれやれこれでやっと少し落ち着くかな」という雰囲気になっていたのに、数日前なぜか突然軍が出動。この大統領の独断に怒った選挙管理内閣のアドバイザー(大臣にあたるポスト)4人が昨日辞任。今日あらたに4人が任命されましたが、その人選をめぐってまたひともんちゃくありそうな予感。ちなみにこの新たな4人の中には、BRACに次ぐバングラデシュの巨大NGO、ASA(アシャ)の代表も選ばれました。(それじゃNon Governmental Organizationじゃないじゃないか?とつぶやく人多し。)

まっとうな選挙をするためには、年末から年始にかけてのコルバニー・イード(犠牲祭のイード)の休みをはさんで、あと1ヶ月ちょいの間に、投票者名簿の訂正など山のようにやらなければならない仕事があります。いまだに選挙管理内閣や選挙管理委員の人選でもめている現状で、こんな短期間にいったいどこまでできるんでしょう。

この投票者名簿、2001年の選挙のときの名簿を元にして作り直すんだそうですが、どの程度正確なのか?試みにうちの事務所のスタッフにきいてみました。

スタッフA:ぼくは田舎に票をもってるけど、ダッカに出てきたときに手続きがされてないから、ダッカの名簿には入ってなくて、ここでは投票できない。田舎は遠くて帰れないから、結局票はないよね。ちなみに事故で亡くなったぼくのお兄さんの票はまだ名簿から消えてないみたいだよ。

スタッフB:わたしは田舎とダッカに1つずつある。田舎の名簿から名前が消えてないから、本気でやろうと思えば1日に2回投票できます。

スタッフC:ぼくは3票ある。田舎の実家の分が名簿から消えてないのと、ダッカで今の家に移る前の住所のも消してくれって言ったのに消えてない。田舎は遠いから1日で往復は無理だけど、ダッカの今の住所と前の住所は車で10分もあればいけちゃう距離。2回は簡単に投票できちゃうね。

なんじゃそりゃあ、と驚きました。別に彼らは自分で画策したわけでもなんでもなく、「普通に引越ししたりしてたら投票者名簿の名前がダブっちゃってて困ったもんだ」というのです。田舎からダッカに出てきた人は、だいたい2票持っていることになってしまうのでは?あと、親族が死んでもその人の名前が名簿から消えていなければ代わりに投票できちゃうし、逆に成人したばかりの若者は名簿に入っていない人が多いはずです。

これはもう相当にめちゃくちゃですね。出生登録も、死亡登録も、住民登録も、法制度としてはあるのだけれど、ちゃんと機能していないから、というのです。この「制度はあるけど機能してない」という言葉をここへ来ていったい何度聞いたことでしょう。民主主義の「基本のき」の制度を、ちゃんと機能させるにはいったいどこからどう手をつけたらいいんでしょうね。

土台がしっかりしてないのに、上へ上へ積み上げようとすれば、必ずどこかで無理が来るはず。平等・公正がないまま経済成長を続けても本当の意味で豊かな国にはなれないでしょうに。

こんな状況の中、NGOは何をするべきなのか。何ができるのか?本当に悩ましいです。結局政府がやるべきなのにやらない「穴」をNGOが埋め続けてるだけじゃ、なんの変革にもならないじゃないか、と…。

いつになく無力感が漂ってしまうのは、風邪引きだからかな?こういう時はもううんざりなニュースを見るのはやめて、早く寝るに限りますね。