国際的に児童労働の禁止・撤廃を定めるILOの国際基準として、就業の最低年齢に関する条約 (第138号条約、1973年)があります。世界189カ国のうち173カ国が批准していますが、バングラデシュは未批准国でした。 

14歳未満の児童の雇用を禁止に

今年2022年2月末、内閣は原則15歳未満の児童の雇用を制限するILO条約第138号の批准を提案し、それを首相が承認しました。その後の記者から質問に答えた官房長官は、14歳未満の子どもを雇った場合、バングラデシュ労働法に従って罰が与えられるとコメントしています。 

その後の3月22日、バングラデシュ政府労働省大臣はILO本部にて批准書を提出しました。これで、2025年までにあらゆる形態の児童労働を排除するというバングラデシュ政府の目標に、より近づいていくことを期待します。

家事使用人が「危険な仕事」として登録

また、現在バングラデシュでは、14歳未満に従事させてはいけない「危険な仕事」として38業種が登録されていますが、ILOの働きかけにより、この中に「家事使用人」が追加される見込みです。 

このように少しずつではありますが、バングラデシュでも児童労働に対する意識、対応がかわりつつあります。シャプラニールでは、家事使用人として働く少女への支援活動を続けていますが、14歳以下の子どもを雇うのをやめてください、と訴えても、なかなか理解を得られない状況があります。しかし、この条約をバングラデシュが批准し、懲罰の対象となれば、私たちは自信をもってより強く訴えていくことができる、バングラデシュ社会から児童労働が減ることに大きくつながると期待しています。 

児童労働反対のレッドカードを掲げる家事使用人として働く少女たちとダッカ大学の学生

バングラデシュ事務所長 / 内山智子