代表メッセージ

シャプラニールへの日頃からのご支援、心から感謝申し上げます。

シャプラニールは1972年の創設時より、経済的、社会的に厳しい状況に置かれた人々や見過 ごされがちな課題に焦点をあてて活動を続けてきました。80~90年代は土地なし農民などの生 活向上を目指したショミティ活動、2000年からはストリート・チルドレンや家事使用人、レス トランで働く子どもなどを主な対象とした「児童労働」への取り組み、そして最近では少数民族 の子どもたちなどを対象とした教育支援も行っています。2007年に作成した中期方針では社会 の制度や支援の仕組みから排除されてしまう、いわば「取り残された人々」への取り組みに焦点 を当てることを明文化し、現行の中期ビジョンでも「誰も取り残さない」ことをシャプラニー ルの主要な価値観のひとつとして位置付けています。 世界的にも、2015年に国連で合意された SDGs*(持続可能な開発目標)で「Leave no one behind(誰一人取り残さない)」がキャッチフレー ズとして採用され、現在、さまざまな人々、団体、政府機関そして企業などが、排除を生まない 社会の実現に取り組んでいます。

しかし、我々も含め、これだけ多くの人々が「誰も取り残さない」と声高に主張しているにも 関わらず、「取り残された人々」は減っているといえるのでしょうか。バングラデシュはいまだ に多くの人々が貧困や格差などの課題を抱えているところに、100万人ともいわれるロヒンギャ 難民が流入し、混乱の中にあります。シリアでは多くの国民が家を追われ、行き場を失っていま す。もちろん、これらは世界のマスコミが大きく報道しているため我々の知るところとなってい ますが、世界には誰からも顧みられず苦しんでいる多くの「取り残された人々」が存在しています。 もちろん、我々が住む日本にも。

その一方で、欧米では「○○ファースト」と自分たちの利益を声高に叫ぶ勢力が賛同者を増や し、「自分たち」と「自分たち以外」との線引きが社会のいたるところで行われています。その ような呼びかけに応じる人々も、生活水準の低下や治安の悪化に怯え、先ずは自分や自分の家族 を守りたいという気持ちが排他的な思想に走らせています。そして、社会から取り残された経済 的弱者や社会的少数派、そして新天地を求めて母国を離れた人たちなどが分断された社会の狭間 で苦しんでいるのです。

残念ながらシャプラニールのような小さな団体では、すべての取り残された人々に手を差し伸 べることはできません。先ずは我々の活動地できちんと成果を出していきたいと思います。加え て、我々と理想を共有する世界の仲間と連携し、その理想を広めていくことも可能と考えていま す。我々の理想とする社会は「貧困のない社会」であり、すべての人々が取り残されることなく、 潜在的能力を自由に発揮できる社会です(中期ビジョン(2016-2020)より)。

シャプラニールは2017年9月で45周年を迎えました。これをきっかけに会のキャッチコピー を変更し「誰も取り残さない。」を採用しました。先ずはこのコピーをさまざまな手段によって より多くの人々の目に触れるようにしたいと考えています。そして、シャプラニールが「誰も取 り残さない。」という価値観に沿って具体的にどのような活動を行っているのかを、会員のみな さまへ丁寧に伝えるとともに、各種メディアを通じて広く発信することで、より多くの人々が「取 り残された人々」のことを考え、行動する社会を実現したいと考えています。

 

2018年5月  代表理事 岩城 幸男