シャプラニールをご支援、その活動にご関心を寄せてくださっている皆さま、明けましておめでとうございます。
シャプラニール代表理事の村山です。
皆さまにとって、昨年、2025年はどのような年だったでしょうか?
私の場合、長年勤めた職場での一つの役割が終わったことと、昨年6月の会員総会でご承認いただき坂口さんの後任の代表理事に就任したことの二つは、人生の大きな変化でした。

シャプラニールとの出会い
シャプラニールのことを知ったのは大学3年か4年の時、アジア研究、特にアジアと日本の関係を学ぶ(1980年代前半のことでしたから、アジアの労働者を搾取し、資源を収奪することで支えられた日本の豊かさというのが一番の気づきでした)故村井吉敬先生のゼミに、シャプラニールから若手の職員二人が来て講演してくれたことからでした。そして大学卒業後就職した職場で、偶然バングラデシュの担当になったことから、シャプラニールの会員となり現在に至っています。
その間、1989年から1991年まで、1998年から2000年まで、2回ダッカに駐在する機会があり、当時の駐在員とその家族には大変お世話になりました。東京事務所とは、1990年代の前半にシャプラニールが海外経済協力基金(OECF:現在は国際協力機構JICAに統合)から受託した、グラミン銀行の住宅ローンの調査や、シャプラニールが創立30年を経て、1980年代後半から2000年代前半に至るまでの活動を振り返った『進化する国際協力NPO-アジア・市民・エンパワーメント』(2006年、明石書店)の執筆企画に参加させていただきました。
2020年から理事となり、ほぼ毎月の理事会で、シャプラニールの多様化した取り組みと、それを担っている職員の働きぶりを垣間見ることになりました。ご縁があり代表理事となり、現在は、シャプラニールについて改めて学ぶとともに、シャプラニールの事務局や駐在員経験のない自分が果たせる役割は何なのか、模索しているところです。
一人ひとりスタッフと向き合って
まず最初に始めたのは、事務局のスタッフとの面談です。どんな思いで、またどんなキャリアを経てシャプラニールに関わるようになったのか。その背景は様々ですが、共通するのは「シャプラニールを選んだ」という強い思いが存在することでした。限られた人数で、非常に多くの仕事に丁寧に対応するエネルギーと能力が求められる仕事ぶりを支えているのは、その思いです。それを枯らさないためにはどうしたら良いのか。
もちろんシャプラニールという組織、そしてスタッフ一人ひとりの課題ではありますが、会員の皆さまや、バングラデシュ、ネパール、日本の現場での関わりが、やりがいや新たな気づきにつながる機会となっている部分も大きいと思います。さらに、まだ限られた経験しかありませんが、事務所に行く度にそこに集まっているボランティアの皆さまの姿を見ると、シャプラニールがこうした「場」を作っていることの大切さと、ボランティアの方々から聞ける話が、新たな窓を開いてくれることを感じます。
昨年末のバングラデシュ出張にて
2025年年末、バングラデシュ事業担当(前バングラデシュ事務所長)の内山職員と、一緒にバングラデシュに出張しました。現在実施しているプロジェクトを視察し、パートナー団体との打ち合わせに参加すること、日本大使館やJICA、日本貿易振興機構(ジェトロ)など、ほかの関係機関からも話を聞くことが主な目的でした。
2024年8月の政変後、ようやく今年2月12日に設定された国民議会総選挙を控えたバングラデシュは、様々な政治勢力の力関係が拮抗しつつあることから、先の読めない緊張状態にあります。訪問の最中に、その数日前に狙撃されシンガポールに緊急移送され治療を受けていた若者リーダーが亡くなったとの知らせが届くやいなや、各地でデモが発生し、ダッカの主要新聞社2社が焼き討ちされました。そのためダッカの外のプロジェクト地訪問が叶わなかったのですが、それでも学ぶことは多かったです。

昨年内山職員が全国15カ所で行った(受け入れてくださった皆さま、ありがとうございました)講演などを通じて聞いていたシャプラニールが長年携わってきた「家事使用人として働く少女」が通う支援センターを訪問することができました。
集っていた少女たちの年齢が非常に様々で、雇い主から早く帰宅させるようセンターに電話がきて、後ろ髪をひかれるようにして帰っていく少女の姿もあり、あまりにも幼い子には少し年かさの少女2人に家まで送らせる配慮をセンターのスタッフが行っていました。このセンターに集っているのは、道を挟んだ反対側にある公務員住宅で働く少女たちなのですが、公務員住宅というのはイメージしていた低層の古い団地ではなく、建て替え後の高層のマンションで、外から隔離された空間でした。

今回の訪問で少女たちの置かれている状況や、本来、法の遵守に最も敏感であるべき公務員住宅で児童労働の問題が存在すること等を実体験として理解することができました。とともに、社会の建前と本音に関わる問題の性質上、粘り強く住民の理解を得ていく必要性等があり、NGO大国といわれるバングラデシュであっても他の団体が積極的に取り組まないこの課題に、シャプラニールが取り組む意義も強く感じることができました。児童労働根絶という目的の前には、対処療法ではありますが、今存在する働く少女たちのためにこうしたセンターをもっと増やしていく必要があるとも思いました。
新しい年、新しい未来に向けて
2026年は、先に述べた通り2月にはバングラデシュ、3月にはネパールで国会総選挙が実施される予定です。若者がもたらした新しい国造りの機会から、どのような新政権が生まれるのか、期待に応える新たな時代が作られていくのか、実際に見て・聞いて、皆さまに報告する機会が増やせればと思います。
バングラデシュ、ネパールの近未来は、同2カ国との関係、特に「人の移動」を通じた関係が深まっている現在、日本の私たちの近未来でもあります。皆さまとともに、より良い未来を一緒に創っていけたらと願っています。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
代表理事 村山真弓
