シャプラニールでは、昨年度より日本に住む外国人にかかわる取り組みを実施しています。

日本で生活する一部の在住外国人は、言語のほかさまざまな制約によって、自ら抱えている課題を相談する場にたどり着きづらいという現状があります。そのため、そういった人々が相談窓口にアクセスしやすい環境づくりを目指して、フードパントリー(※)の現場での相談会を実施しました。

※ 生活が困窮し、何らかの理由で十分な食事を取ることができない状況の人々に無料で食品を提供する支援活動

本活動はシャプラニールにとっては初めての試みとなるため、新宿地域においてフードパントリー実施経験のある特定非営利活動法人ワーカーズコープ「よいしごとステーション」と共催で実施しました。昨年2021年12月には先方の事務所のある東京DEW、今年2022年3月にはシャプラニール事務所のある早稲田奉仕園を会場とし、これまでに2回開催しました。

いずれの回も対象者は国籍不問とし、英語、ネパール語、やさしい日本語の多言語チラシを作成して、多くの人がイベントの情報にアクセスしやすいよう工夫。さらに、会場には多言語に対応できるよう通訳も配置しました。

多言語チラシ「やさしい日本語バージョン」

実際に当日会場に来られた参加者からは相談をしてほっとした表情が見られ、こうして自分が生活で抱える悩みや困りごとを相談できる場があることの重要性を改めて感じました。また、参加されたネパール人の方からは「ネパール語で対応してもらえ安心した」という感想もあり、多言語対応の必要性も感じました。

フードパントリー・相談会 会場の様子

一方、在住外国人の参加者の中には「自分たち外国人の相談/困りごとを、日本社会/日本人に対応してもらえるのだろうか」と緊張しながら会場に来たと話す人もおり、彼らにとって相談する/支援を受けることは、ハードルが高いものという印象を受けました。また、回を追うごとに在住外国人の参加者は増えつつありますが、まだまだ必要な人に情報を届けられていないとも感じています。そのため、今後は、在住外国人の人が参加する上での不安感をやわらげるためのより細やかな配慮や、必要な人へ情報を届けるためのさらなる工夫をはかることが必要だと考えています。

今回、イベントの運営には、多くのボランティアの方々の協力があり、活動を通して市民参加の広がりも期待できました。このように市民の方々を巻き込みながら、今後も継続的に活動を実施していきたいと考えています。

配布する食料の準備をするインターンとボランティア

海外活動グループ
菅野冴花