2024年1月にネパール、2月にバングラデシュヘプロジェクト評価のために出張しました。それぞれの活動地で会った人たちのこと、考えたことを事務局長 小松から報告します。

極度の貧困、そして立ち上がる人たち

ネパール・マクワンプール部で行っている児童労働削減事業。今回訪れた村で、祖父母・きょうだいと暮らすビジャヤさんは14歳。もう何年も前に父親が家を出て行き、他の女性と結婚してしまいました。しばらくすると今度は母親までもが子どもたちを祖父母に預けて家を出て行ってしまったそうです。驚くことに、ここでは珍しいことではなく、他でも同じような話を聞きました。元々日雇い労働で暮らしてきた祖父母もかなりの高齢となっていて、そんなに働くことはできません。

ビジャヤさんとその家族

私たちの事業では、ビジャヤさんが学校へ通い続けられるよう、学校で必要な文房具や制服、防寒のための帽子やセーターなどのサポートを行いました。祖父のミンバハドラールさんは「このサポートがなければビジャヤは学校へ行かなくなっていたと思います。生活は苦しいですが子どもたちには何とか学校へ通い続けてもらいたいのです」と話してくれました。

地域の人たちの声を聴いているところ

土地を持たず、長年不法居住している家族の生活の厳しさは、家屋の様子を見るだけで伝わってきます。圧倒的な貧囲を目の当りにして何もできない自分の無力さに打ちひしがれながらも、親が見捨てた孫たちをしっかり育て、できる限り学校にも通わせようとしているミンバハドュールさんの気持ちに触れ、とても感激しました。

私たちは、このように学校に行けなくなったり児童労働に陥ってしまう危険性のある子どもたちへの支援活動を続けています。私たちだけではなく、地域の行政機関や住民組織と共に課題解決に取り組む努力を積み重ねてきました。今回話を聞いたある区長さんは、「あなたたちが道を作ってくれた。これからは私たちがその道を歩いていく番です」と力強く話してくれました。行政や地域の人たちが自らの責任に気づき、立ち上がろうとしていることを知り、今までやってきたことが間違っていないと確信しました。

※登場人物は全て仮名です。
事務局長 小松豊明