「罰することで必ずしも問題は解決しません。私たちは同じコミュニティの中で人々とともに生き、さまざまな課題に向き合っています。だから、私たちは児童労働のリスクについて地域住民に理解してもらえるように、正論でぶつかるというよりも共感を持って接したいと考えています」

これは、モナハリ村長(*1)はの言葉です。そう、モナハリ村は児童労働問題に真剣に取り組みたいと考えているのです。

現在、シャプラニールと現地パートナー団体・シーウィン(CWIN-Child Workers in Nepal Concerned Center)は児童労働への送り出しが多いと思われるマクワンプール郡モナハリ村で児童労働防止の新しい事業を立案中です。以前、カトマンズ盆地で児童労働削減事業を行った時に、多くの子どもが近隣自治体から出てきていることがわかり、そのような送り出し地域から児童労働に出てくる子どもを減らさない限り児童労働者数は増え続けると考えたからです。

学校や行政関係者から子どもに関する問題やこれまでの取り組みについて共有したワークショップ

学校や行政関係者から子どもに関する問題やこれまでの取り組みについて共有したワークショップの様子

世帯調査から見えてきた実態
2019年秋にはモナハリ村の3つの区(*2)で600世帯を対象に児童労働に関する調査を行いました。その結果は、600世帯のうち146世帯(約24.3%)で児童労働があり、子どもの数1,758人のうち178人が児童労働に従事していました。主な仕事場は、バスなど公共交通機関、小さなレストラン、カーペット工場、建設作業などです。性別は以下の通り、全体としては男子が多いのですが、女子は9割以上が村外で働いていることが判りました。

▼ モナハリ村600世帯において児童労働に従事している子どもの数

男子 女子 合計
モナハリ村内で労働している子ども 52人 3人 55人
モナハリ村外で労働している子ども 90人 33人 123人
合計 142人 36人 178人

 

当初、モナハリ村は都市部への児童労働の送り出し地域ととらえていましたが、モナハリ村の行政、学校関係者から話を聞くと、モナハリ村内で働く子ども、モナハリ村近隣から来てモナハリ村で働く子どももいることがわかりました。今後、村や住民、子ども会などと協力して、児童労働を削減するための活動を進めていきます。

*注1:モナハリ村はカトマンズ郡の南西部に位置するマクワンプール郡の南西部に位置する
*注2:村には9つの区がある。区は最小の行政単位で区<村または、市<郡<州<中央政府という行政単位からなっている。

スリジャナ・シュレスタ
ネパール事務所 プログラム・オフィサー