新聞やテレビ等でも大きく取り上げられていますが、現在バングラデシュのコックスバザール県に隣国ミャンマーからロヒンギャと呼ばれる人々が難民として押し寄せており、その数は既に30万人を超えたと言われています。

ロヒンギャとは、ミャンマーのラカイン州北西部に住むイスラム系少数民族のことで、ミャンマー政府はロヒンギャをバングラデシュからの「不法移民」であるとし、国籍も付与していません。 一方のバングラデシュ政府もロヒンギャを自国民とは認めず、両国から排除されたロヒンギャは無国籍状態にあります。2015年5月、数千人にのぼるロヒンギャ難民が乗った複数の船が、どの国からも受け入れを拒否されたまま海上を漂流する事態が生じたのは、記憶に新しいところです。

今年8月25日、ロヒンギャ武装勢力が約30カ所の警察施設を襲撃したことをきっかけにミャンマー軍による「テロ掃討作戦」が始まり、これまでに100人以上のロヒンギャが殺害されたと言われています。そのため多くの住民が弾圧を逃れ、北に国境を接するバングラデシュへ流入、難民化しているのです。

現地からの報告によれば、バングラデシュ政府による活動許可も制限されており、食糧・医療支援の手もほとんど届いていない状況です。その背景には、2国間にまたがる国際問題であることや、ロヒンギャの武装勢力について国外のテロ組織との関連が指摘されていることなどがあると言われています。しかし、実際に困難な状況に置かれているのは年寄りや女性、子どもなど弱い立場の人々です。

長い歴史を持つロヒンギャの問題ですが、1992年に数十万人に及ぶ難民がバングラデシュに流入した際、シャプラニールでは蚊帳や食糧などの物資支援を実施しました。今回もこれだけ大量の難民が発生し非常に厳しい状況に置かれていることから、何らかの対応が必要と考え、現在、情報収集と検討を進めています。方針が決まり次第、改めてお伝えしたいと思います。