バングラデシュに住む人の9割がイスラム教徒と言われていますが、ヒンドゥー教、キリスト教、仏教などさまざまな宗教が共存する社会です。ヒンドゥー教の結婚式は、ヒンドゥー教の基礎を形成するヴェーダの伝統と儀式に基づいています。手順は、地域によって多少の違いがありますが、7つの儀式が完了した場合にのみ正式な結婚と見なされます。

✼ 結婚式の前

結婚式前日から夜明けにかけて、複数の既婚女性が、新婦にターメリックペーストを塗ったり、白と赤の貝の腕輪で新婦の手を飾ったりなどします。

✼ 結婚式 ✼

新婦の母親は、聖なる土のランプを持ち、竹のふるいに米と三つ葉を置いて、他のメンバーと一緒に新郎とその家族を迎えいれます。

新郎には新しい服が提供されます。

新婦はキンマの葉で顔を隠され、7つの円が描かれた場所に導かれます。新郎新婦は、お互いを受け入れる最初の儀式として、花輪を交換し互いを見つめます。

新婦の家族の男性(通常は父)が新婦を新郎に引き渡し、二人の手は神聖な糸で結ばれます。

新郎新婦は聖なる火の前に座り、司祭の後に続いてマントラ(真言)を唱えます。火の神アグニが結婚の証人となります。

新婦は髪に朱色のシンドゥ(結婚した女性の象徴)が付けられ、新しいサリーで頭を覆われます。

新郎新婦と参列者は立ち上がり、参列者は二人の名前とマントラを唱え、新郎側の長老たちが頭に米と三つ葉を振りかけ、金の装飾品を与えることで二人は夫婦として認められます。

✼ 結婚成立 ✼

文/内山智子(バングラデシュ事務所長)
写真提供/ポリモール・クマール・ロイ(元バングラデシュ事務所 職員)

会報「南の風」296号掲載(2022年6月発行)
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